地図に没頭
僕はタクシードライバーの仕事をしている。
タクシードライバーには隔日勤務という特殊な勤務があり、早朝から翌朝まで約21時間勤務し、翌丸1日休む。そして月に約12日間勤務し、約18日間休む。
それだけ休むのでプライベートが充実しまくる。多くのタクシードライバーが、その豊富な休みの日には趣味に没頭する。僕もそうだ。
そんな僕の趣味は地図。要するに僕は地図マニアだ。
地図マニアってのは、地図を眺めて悦に入る人のこと。「地図を眺めて何が楽しいの?」とよく言われるが、余計なお世話というものだ。人気コミックなんかが時折テレビ番組で話題になり、ネットでも「社会現象に」なんて書かれるが、マンガは18歳で卒業したんで、いくら面白いと言われてもまるでピンとこない。だからお互い様だ。
発見と想像
地図を眺める楽しみは、読書にも似ているかもしれない。
僕の場合、頭の中で地図の上を歩いてみるのが楽しい。行ったことのない地域でも地図を見て道路や地形、ランドマークを確認しつつ、「こんなところにスーパー銭湯があるのか」とか「この国道は交通量が多そうだな」とか、新しい発見や想像を楽しむ。
この、地図を眺めて楽しむ趣味は、タクシードライバーという仕事に大いに役立っている。タクシードライバーになると、わざわざ地図を覚えなければいけないんだけど、僕はもともと地図マニアなので、わざわざ覚えなくても自分が住む街の地図はあらかた頭に入っていたからだ。
仕事でも頭の中の地図を駆使してタクシーを運転し、休日は実際に地図を眺め、まさに地図尽くしの日々。これが僕にはとても性に合っている。