ドライバーは杞憂と思えるくらいに悲観的であれ
年間に約60万件も発生している交通事故。この中には、ちょっとしたことで、もしかしたら避けられたかもしれない事故や、これくらいなら大丈夫だとタカをくくっていたために起こった油断事故・過信事故などいろいろなケースがある。
人間は100%カンペキなどありえないが、気構えをどう持つかによって運転中のさまざまな危険から身を守ることができると、先輩のベテランドライバーから教わったことがある。それは、運転中に出会う物事に対して基本的に悲観的であること。つまり、最善を尽くして最悪を覚悟する。悲観論者になれというのではない。こんな場合はこうなっちゃうことも多いはずだと、常に最悪を想定することが大事だ。
ふだんの生活では、誰でも多かれ少なかれハッピーに生きたいと思う。その結果、ヒヤリハットな場面を体験したとしても、事故に遭わなくて良かった、ラッキー!と浮かれがちになる。すると「次も大丈夫だ」と楽観的になる。だが、そこがいけないと先輩は言う。悲観的ドライバーの心得20か条というのを教えてもらった。
交通事故の実際のケースから割り出された「防衛運転」20か条
1)子どもを見たら、不意に飛び出すと思え。
2)両側に分かれた親子を見たら、子どもが親に駆け寄ると思え。
3)停止中のバスを見たら、影から人が飛び出すと思え。
4)戸の開いている人家は、人が飛び出すと思え。
5)老人・子どもを見たら、急な行動をすると思え。
6)自転車を見たら、よろけると思え。
7)人が乗った停止車のドアは、急に開くと思え。
8)前方に路地を見たら、子どもが飛び出すと思え。
9) タクシーは客を見て急ハンドル・急ブレーキをすると思え。
10)交差点には信号無視の人・車があると思え。
11)左折時には、左側にバイク・自転車・人がいると思え。
12)停車時は追突されると思え。
13)バックしようとするときは、見えないところに人がいる、物があると思え。
14)明け方の対向車は居眠りをしていると思え。
15)深夜の乗用車は深酔い運転と思え。
16)対向車の後続車は追越しをすると思え。
17)路肩は崩れるものと思え。
18)道路上に砂利・水があれば、スリップすると思え。
19)冬期の橋上・日陰・カーブの先は凍っていると思え。
20)雨の降り始めは、誰でもが慌てる・ブレーキは効かないと思え。
中には、まさかと思われるものもあるけど、これ全部実際にあった事故の事例からの教訓。先輩の言うことでもあるので、僕は毎日の習慣としてこの20項目を心に留めるようになった。
すると実際、これか!とリアルに気づく、ヒヤリハットな場面がしばしばあった。後で聞いたが、これらは先輩の発明ではなく「防衛運転」というものらしい。個人的には、知って運転しているのと知らないでいるのとではかなり違う気がする。だから、1人でもこれを心に留めてくれたらと思う。