ドライバーのための転職情報コラム

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タクシー運転手 体験談

実際に携わってみて実感したタクシーの社会的使命

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とりあえず、雇用条件のたしかな仕事としてタクシーに

僕は、いわゆる「脱サラ」からの2回目の転職で今のタクシー乗務員の仕事に就いた。最初に入った会社は小さな機械メーカーの営業だったけど、そこはなんだか上司と合わなかったことからのちょっとしたトラブルがもとでやめた。

その次は、生肉関係の食品メーカーだったけど、そこは待遇条件が採用時の話とあまりに食い違っていたので、やはり長続きしなかった。半年くらいはなんとか頑張ったんだけど。ボーナスが年2回と言っていたのに1回しか出なかったり、残業・休日出勤も最初の条件と違ったり、なんだかウソが多いなと感じてアウト。

やっぱり、会社の規模がある程度大きくて、条件面がしっかりしているところを選ぼうと、今度は業種・業態にこだわらず、待遇条件のしっかりしていそうなところを何件もまわり、ウソのない確かなところに絞りこんだ。その結果、就職を決めたのが地元では名の知れたブランドのタクシー会社だ。

けして待遇条件などがいいわけではなかったけど、いい面も悪い面も包み隠さず話してくれたし、先輩たちの生活実態なんかも直接聞けたことは、十分に納得できる成果だった。なによりウソがないのはよかった。

で、タクシー乗務に就いて半年はあっという間に過ぎた。正直言って、仕事としてこれが自分のほんとうの希望だったのかどうかはまだ分からなかった。かといって、何かもっとやってみたいことがあるはずだ、と考えてみても実は何もない。とりあえずタクシー乗務を選んだという感じで、右も左も分からないままに働いていたというのが実情。

ある日出会った最悪のお客さんと最高のお客さん

だけど、ある時、1日のうちで1人の最悪のお客さんと、もう1人、最高のお客さんに出会った。いろんな意味でその日は自分にとって忘れられない日になった。

最悪のお客さんは、何か会社の重役といった風情の人。昼過ぎに駅でお乗せして、ご自宅まで送ったのだけど、なんだか見下されている感じがあった。ちょっとカチンときたのは「キミは、タクシーの運ちゃんなんかしててどうなの?」のひと言。そこからしばらくは自分の仕事の自慢ばかり。その人によればタクシーは最下層の人間の仕事なんだとか。はっきりそう言ってはばからない。まあ、こんな人もいるかなとガマンして送り届けた。

そうこうするうち、夕方にお呼びがかかったのは、スーパーに今いるからというお年寄り。現地に着いたら、3日分の買いだめだからと大量の食材が荷物だった。「おばあちゃん大変だね」とねぎらうと「ほんとにタクシーの人たちがいなかったら自分は生きていけないよ」と言う。そこから、タクシーの先輩たちがどんなふうにしてそのおばあちゃんに接してきたかの話をいろいろ聞いた。病院の送り迎えからふだんの買い物まで、何から何まで面倒を見てくれると、ほとんどタクシードラバーを神サマ扱い。荷物を玄関まで運んで差し上げての別れ際、バックミラーに映るそのおばあちゃんはずっと手を合わせておられた。ちょっと恐縮。

改めてこのタクシーという仕事の奥深さを知る

タクシーの詰め所に帰って、今日の2つの話を先輩にしたところ、先輩たちがそのおばあちゃんをはじめとして、地域のお年寄りに対してどんなふうに接しているかがよく分かった。中には高齢化社会への対応という意味ばかりではなく「やっぱ自分の親にダブっちゃうんだよね」と言いつつ、介護タクシーの資格を勉強中という人もいた。その上、急病人や妊産婦の輸送では救急車よりも早い対応をしているという実態を聞いて、改めてこの仕事の奥深さを知った。

先輩からは「だって、最悪な、その重役ふうの人だって近い将来は介護タクシーがサポートすることにもなるんだよ」とも言われた。実際、そんな例もあったのだそうで、その人は「会社勤め時代は見下すようなことばかり言ってほんとうにすまなかった。タクシーがいかにとおとい仕事かが今はよくわかる」と言い、今では最高のお得意先としてお付き合いいただいているそうだ。

いやあ、こんなにもこの仕事は奥が深かったんだ。そう思って、社会の中でのタクシーの存在意義を見直してみると、我が社でも「ジャパンタクシー」という専用車に順次入れ替わっていくし、各国語の語学研修でタクシードライバーが「走るコンシェルジュ」になっていったり、地域包括医療では医師・薬剤師・介護士らとの会議に参加して緊密な連携を図っていったりと、活躍の場面も拡がっている。僕もさしあたりは、近隣の各病院の休日・救急外来の場所だけでも調べておこうかな。

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