車好きが集まれば
30代の僕には高校時代からの友人が2人いる。今は社会人になってお互いに忙しいので、たまにしか会えないが、高校時代はいつも一緒にいた。
僕らを結び付けていた、共通の話題は車だった。僕らは3人とも、昔から車が大好きだったのだ。3人でカー情報誌を持ち寄ってはアレコレ話したり、3人で車関連の展示会イベントに出掛けたりした。
そしてついに好きが高じて、2人は職業ドライバーになった。1人はトラックドライバー、1人はタクシードライバーだ。僕だけは職業ドライバーではないが、自動車産業関連の会社に就職した。
どっちがどっち
僕から見ておかしいのは、体格も大きく、いかにもマッチョなTくんがタクシードライバーになり、体型はスリムで、物腰が柔らかいKくんがトラックドライバーになったこと。イメージ的には「逆だろ」と思う。
Tくんは何だか小さな運転席で無理に体を縮ませて窮屈そうにタクシーを運転しているように見えて仕方ない。それに、どう見てもぶっきらぼうで無愛想な表情なので、何だかイヤイヤ仕事をしているようなのだ。しかし、これが仕事となるとさわやかな笑顔を振りまく好青年になるから不思議。
一方、Kくんは一見、子どもが運転席にいるような似合わなさで、アクセルやブレーキに足が届いているのか不安に思ってしまう。ただ、いざトラックを動かすと、まるで魔法のように自在に運転して見せる。
ノンアルコール
見た目のギャップがすごいが、結局適材適所なんだよね。
いい歳の大人になった僕らがたまに会うと、必ず行くのが食べ放題。つまり、食べ放題なら料金が決まっているから会計が楽だし、それぞれ食べたい量が違うけど、その辺もあまりお互いに気にしなくて済むという理由からだ。
いい歳した大人が3人も集えば、普通は居酒屋なんかに行ったりするが、KくんもTくんも職業柄、あまり酒を飲まないようにしているらしかった。だから食べ放題の店でもノンアルコール。
ちなみに、3人の中で一番の大食いは優男のK君だ。大柄なTくんはびっくりするくらいの少食。よく食べるかどうかに、体格はあまり関係ないらしい。