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トラックドライバー 体験談

トラックドライバーの逆襲 望郷編

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火花

俺の父親はトラックドライバーだ。昭和の、いかにもイメージ通りの荒くれ者
と言っても、荒くれ者と無法者とは違う。父は情に厚く、家族にも深い愛情を注ぐ人だった。
だから俺は子どものころから父を大好きだった。「大人になったら、お父さんのようなトラックドライバーに、俺はなる!」と言っていた。俺のそんな言葉を聞いた父は、まぶしそうに目を細めた。今思うと、うれしかったのだろう。
2つ年下の妹も、父を慕っていた。俺以上に父になついていた。ほとんどファザコン「大きくなったらお父さんと結婚する」と言い、母との間に火花が散ったようにも見えたものだ。

いつかきっと

ただ、紆余曲折あってその妹はトラックドライバーになってしまった。俺はというと、なぜか成長するにつれて数学に才能を発揮し始め、そのまま会計士になった。
会計士は都会のほうが仕事が多いので、俺は実家を離れて都会で1人暮らしを始めた。会計士の仕事はそれなりにやりがいがあるし、何よりも顧客に喜んでもらえるのは俺にもうれしい。
そんな俺も、たまに忙しさのあまり、会計士の仕事がイヤになることもある。そんなときは空を見上げ、遠く離れたふるさとに思いを馳せる。トラックを運転しているだろう、父や妹を思い、幼いころの「トラックドライバーに、俺はなる!」という気持ちを呼び起こしたりもする。
「俺だって…」と、ふと考え、その思いを胸の奥深くにしまい込む。今さらトラックドライバーでもないか、と自虐的にほくそ笑む。
でも、いつか、本当に。

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