アットホーム
トラック運転手の仕事は1人が基本だ。運転席の横には上司も同僚もいない。だから気楽だし、人間関係のストレスは少ない。
それじゃあ、会社内の人間関係は希薄かというと、少なくとも僕の会社はそんなことはない。従業員が少ない中小企業ということもあり、いわゆるアットホームな職場だ。
一方、大企業なんかだとここんとこ、若い社員たちはとかく忘年会などの「飲みニケーション」をスルーしたがるそうだ。勤務時間外に、自腹を切ってまで付き合い、聞きたくもない上司の自慢話を聞かされるのはイヤだというわけだ。至極もっともな話だと思う。
そう思うけど、ウチの会社の忘年会などの飲み会は、やはり楽しい。スルーした従業員は僕が見たところ今まで1人もいなかった。
参加者の割り勘じゃなくて、費用は会社持ちってこともあるけど。
豹変する人格
それより、普段「基本的には1人で仕事」でトラック運転手仲間ともあまり接する機会がないので、こういう機会に先輩運転手の失敗談や自慢話を聞くのがやはり楽しいのだ。自分の仕事に生かせることもある。
ちなみに、先輩運転手の中に普段はなかなか話しかけにくいオーラの人がいる。何だか暗そうだし、あいさつしても「ん」くらいの返事しか返ってこない。「お友達になりたくない」タイプの人だ。
だが、この人が飲み会になると豹変する。会場には満面の笑顔で現れ、その後も上機嫌でしゃべりまくる。いつも会社で会っているのは、この人の双子の兄弟じゃないかと疑いたくなるほどだ。
飲み会で楽しく過ごし、その翌日、職場で会ったとき、つい親しげに話しかけると、やはり「ん」というつれない反応。
本当に二重人格なんじゃないかと思ってしまう。