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トラックドライバー 体験談

故郷に続く道

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あの道を行けば

高校を卒業して各地を転々とし、職業も数回変え、20代半ばにもなった今、トラックドライバーとして働いている。
仕事柄、いろいろな道を走る。その中の1本は故郷に続く道だ。
そういえば、家出同然に故郷を離れて以来、母親とは年に数回、電話で話すが、それだけで、両親と一度も顔を会わせていない。
あの道をずっと行けば、あの街に続いているはずだ。
だが、恐れずにひとりで生きていこうと決め、寂しさを気持ちの底に押し込んでここまで来た。今さら、と思う。
就職した会社は居心地も良く、社長も同僚も良い人ばかりだ。
だが、「お前は心を開かないよな」とよく言われる。
ひとりでいることを恐れるのはやめたが、人と関わることを恐れているのかもしれない。

帰郷

今は短距離、中距離の仕事ばかりしている。だが、近いうちに収入の良い長距離に移りたいと思っている。
あるとき、先輩のベテランドライバーの補助として、長距離の助手席に座った。行き先は、あの街だった。
誰から見られるわけでもないのに、助手席のシートに深く体を沈めた。フロントガラス越しに懐かしい風景が広がる。
何も変わっていない、ように見えた。
恐れずにひとりで生きていこうと決め、寂しさを気持ちの底に押し込んでここまで来た。今さら、と思う。
「何やってる。しっかり景色を見て道を覚えろ」と先輩が言った。
それは忘れたことのない景色と道だった。

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