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トラックドライバー 体験談

トラックドライバーのバラード

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どこ吹く風

僕はトラックドライバーとして中小運送会社に勤務している。ウチの会社の社長は、今60代だけど、若いころから苦労して事業の礎を築き、地元ではちょっとした名士にもなっているような人物だ。
社長には片腕とも言える人がいる。トラックドライバーで、社長と同世代だから、ウチの会社でもベテランの部類に入る人だ。社長はもともと、この片腕氏も入れて仲間4人で運送業を始め、今の地位を築いたらしい。当時の仲間の内、2人はそれぞれ独立し、運送ではなく、倉庫業で成功している。
独立したその2人は若いころから優秀で、今の成功も当然の結果らしい。
一方、片腕さんは昔からドンくさかったらしいけど、ベテランの域に達した現在も、僕ら下の世代から少々軽く見られている。しかも、本人も周囲からどう見られているか承知の上で、どこ吹く風といった様子で、それを一向に気にしていないようなのだ。

ご褒美で専務

それでも社長は、独立した2人よりも片腕さんに絶大な信頼を寄せている。役職は一応「専務」になっているけど、経営にタッチすることはなく、その役職は長年の勤務へのご褒美みたいなものと、本人が言っていた。
だから、今もバリバリの現役ドライバーとして活躍している。それに経営にはタッチしていないけど専務は専務なので、親睦や交流を目的とした業界の集まりには、社長は必ず専務を連れていく。
実は、僕が入社して最初にお世話になったのはその片腕さんだった。確かにテキパキと仕事したりするタイプじゃないし、いまだにスマホどころかパソコンも使えないアナクロ人間で、未経験者だった僕が見ても「仕事がデキる人」ではなかった。
けど、たどたどしく仕事を説明してくれる口調とか、僕ができるまで根気良く繰り返し教えてくれるていねいさ、社長と嬉しそうに昔話に興じる様子などを見ていると、その実直さに自然と僕の心も和んできた。
社長が片腕さんを信頼しているのも、仕事がデキるとかそういうことではなく、そういう人柄ゆえなのかもしれない。

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