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トラックドライバー 体験談

僕の父

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男手ひとつ

父は僕を「男手ひとつ」で育てた。
父は晩婚だったので、僕が高校生のときには60代だった。小柄で痩せていて、力仕事には向かない体格だった。
父は40歳を過ぎて、未亡人だった母と出会って結婚した。母は再婚だったが、父は初婚だったらしい。
結婚した父は、母が経営していた雑貨屋の主になり、僕を生んだ母が早くに死ぬと、そのまま店を経営しながら僕を育ててくれた。外に働きに出る仕事ではなかったので、子育てしながら働きやすかったようだ。
店主としてお客にはそれなりに愛想も良かったが、基本的には無口で、自分のこともほとんど話さなかった。

脱水症

これは僕がまだ高校生だったころの話だ。学校が終わった僕も父と一緒に店番していたとき、目の前の道路を大型トラックが走ってきて、ハンドル操作を誤って前輪の片方が側溝にハマってしまった。運転席を見ると、父と同じくらいの年代のドライバーがハンドルにうっ伏している。後で聞いた話だが、ドライバーは脱水症で気を失ったらしい。それほどスピードが出ていなくて、片輪が側溝にハマったくらいで大事故にならずに良かったと思う。
父が救急車を呼び、ドライバーが運ばれていった。後には大型トラックが残された。だが、大型トラックが道をふさいでいる。
すると、父がすっと運転席に乗り込み、エンジンをかけてハンドルを操り、器用に側溝からタイヤを出してしまった。
大型トラックって、大型運転免許が必要だったはず。トラックを通行の邪魔にならない場所に移動させて運転席から降りてきた父に聞いたら、父は結婚前トラックドライバーだったんだとか。
無口にもほどがある

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