こわもて
トラック運転手はどうも世間から「イカツイ」だの「こわもて」だの「ランボーもの」だの思われているフシがある。大きくて重いトラックを運転して大きくて重い荷を運ぶことが多いので、トラック運転手はきっとマッチョで、だからケンカなんかも強く、休みの日はケンカに明け暮れる日々を送っている、なんて思っているのだろうか。
今どき、そんなトラック運転手はいない。「トラック野郎・度胸一番星」の千葉真一じゃあるまいし。
かくいう俺もケンカなんて今まで一度も経験はない。ただ、外見は世間のイメージそのものの「イカツイこわもて」なので、よく「ランボーもの」と誤解される。俺ほど親切でていねいな男はそう滅多にいないのに、全く心外だ。
アウト・オブ理解
そんな俺が入った給料の多くをつぎ込み、人生最大の楽しみとしているのがスイーツだ。つまり、ケーキやシュークリーム、パフェ、ジェラート、プリンなどなど。
俺は長距離トラックの仕事をしていて、全国各地に荷を届ける。何とか時間をひねり出し、その土地ならではの名店を巡ってスイーツを食べることを何よりも楽しみにしている。
スイーツショップに大型トラックで乗り付け、作業着姿のイカツイこわもてがニヤニヤしながらスイーツを注文するので、たまに周囲の不審者を見るような視線に気が付いたりもする。
だが、そんなことを気にしては人生を楽しむことはできない。
そういや最近はスイーツショップに行くと、食べる前にやたらとスマホで写真を撮りまくる人たちをよく見掛ける。スイーツ好きは同じだと思うが、どうしてもあれだけは理解できない。写真撮るより味わうほうが先だ!