3泊4日の旅
私には叔母が1人います。
叔母は地方の田舎町に1人で暮らしている独身の老婦人です。噂話が好きで好奇心旺盛で、しかもお茶目です。本人は「学がない」と謙遜していますが、話すと高い教養を持っていると分かります。
一方、私は40代で結婚歴はなく、いまだに独身貴族を楽しんでいます。そのため、金銭的に余裕もあるので、時折、この叔母を誘ってホテルのレストランで豪華な食事を楽しんだり、歌舞伎やオペラなどを観劇したりします。知識も経験も豊富な叔母の話はとても面白く、私がなかなか結婚できないのは、同世代で叔母のように魅力的な女性に出会えないからだと思ってしまいます。
そんな叔母とあるとき、バスツアーに参加しました。3泊4日で北陸の景勝地を巡り、由緒あるリゾートホテルにも1泊するという内容です。
運転手兼ガイド
そのツアーは私たちを入れて10数人のお客が参加していました。夫婦での参加者も2組くらいいましたし、高齢男性1人での参加者もいました。他に教会のシスター2人、若い男性1人、若い女性と弁護士の2人連れなどのお客がいました。
叔母は、1人で参加した高齢男性とよく話したりしていました。世代的に話が合うのでしょう。私はシスターや若い女性と親しくなりました。
しかし、私が秘かに魅力を感じたのは、バスの運転手兼ガイドを務めた女性でした。活動的で賢く、話も面白くて、しかも美人でした。ただ、これまでもいろいろなお客を乗せ、言い寄られたことも何度かあったに違いなく、私のアプローチもそう簡単には通じません。
しかし、ツアー中にあるお客の持ち物が紛失する事件が起こり、叔母がこれを鮮やかに解決。その甥ということで、私にも気を許して接してくれるようになりました。その後は、まあご想像にお任せします。
とにかく、そのバスの運転手兼ガイドを務めた人は、私が今まで会った中でも本当に魅力的な女性だったのです。それに、バスの運転手という仕事は、運転もていねいで接客もうまくないとできないということも、彼女を見ていてよく分かりました。