スマートに
僕は昔からタクシードライバーに憧れていた。子ども心に「カッコいい」と思っていたからだ。
白い手袋もスマートに、後部座席の幼かった僕をまるでゆりかごにいるような気分にさせた、おだやかな運転技術は、何だか手品師のマジックのように思えた。
大人になると、その手品師のマジックが高度に専門的な技術によるものだと分かった。
それで実際に会社訪問し、面接を受けて行くと、タクシー車内という密室での濃い接客を求められるところに、挑戦しがいを感じた。接客だからと言って、テレビタレントのような上手な会話を求められるわけじゃない。とにかくお客様の様子、態度、表情、言動などから、そのお客様がどういう対応を望んでいるか察知し、お客様に快適に感じていただけるように対応しなければいけない。
研修でそれらを学ぶうち、タクシードライバーの仕事の奥深さに気付かされた。
一流の
タクシードライバーは他のいろいろな業種同様、ここのところ人手不足になっていて、採用のハードルは低いようだ。僕が入社した会社は基本的に新卒採用が中心だが、中には圧倒的に中途採用が多く、新卒採用は稀という会社もあると聞く。
採用のハードルが低いからか「タクシードライバーなんて誰でもできる」という人もいる。確かにタクシードライバーは「誰でもできる」かもしれないが、一流の「カッコいい」タクシードライバーは誰でもなれるわけじゃない。一流になるには、どの世界も同じだろうけど、挑戦し続ける向上心がなければできない。
僕はまだまだ未熟だけど、きっと一流のタクシードライバーになってみせる。腕も心意気も、稼ぎも一流のタクシードライバーに!