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タクシー運転手 体験談

見慣れた街

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昔は良かった

私は長年タクシー運転手として仕事をしてきた。今は50代も半ばだ。
中高年以上のオッサン、ジイサンはよく「昔は良かった」と言うが、これは別に昔の時代を客観的に見て、日本の経済状態、国民性、生活などを総合的に判断して「良い時代だった」だなんて言っているわけでは、当然ない。
「昔」となると、オッサン、ジイサンもまだ若く、体も丈夫だったし、そもそも人は「悪いことはなるべく忘れたい」という思いがあるので、主に、元気いっぱいに毎日過ごしていたことが思い出されて「昔は良かった」と思えてくるのだ。何も本当に「良い時代だった」わけではない。だから、そんなことを言うオッサンジイサンにムキになって「本当に昔は良かったと言い切れるのか」なんて問題提起したってしょうがない。
かくいう私も「昔は良かった」と思うことがある。

良い時代だったのか

バブル景気と呼ばれた80年代の好景気のころ、私はちょうどタクシー運転手として働き始めた。当時は、六本木あたりでは大勢のサラリーマンたちが万札を持った手を挙げてタクシーを停めようとしたものだ。まさに昭和オッサン風に言うと「ウハウハ」だった。
人間、調子の良いときは調子に乗るものだ。この好景気はこのまま永遠に続くような気になった。
あの時代が「良い時代」だったかどうか、客観的に言うことは私にはできないが、少なくとも私にとっては「良い時代」だった。
やがてバブルは弾け、以来、ずっと不景気が続いているような気がする。
そして始まったコロナ禍。飲み屋のネオンは消え、人通りは途絶え、街の見慣れた風景がすっかり変わってしまった。この「時代」を若いときに経験した人たちは将来オッサン、ジイサンになって、若かった時代を振り返り、何と言うのだろう。

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