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トラックドライバー 体験談

馴染みのない店

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ゾゾッ

何かが起こるときは、必ず首の後ろあたりがゾゾッと逆立つのを感じる。
あの日も、俺はトラックを運転して荷を運んでいた。県を2つ越える長距離だが、俺にとっては通いなれた道だった。
いつもと違うのは、運転席の横に先月入社したばかりの新人がいたことだ。いわゆる研修というやつで、キャリアの長い俺が長距離仕事の大変さを教えることになった。
キャリアが長いと言っても、あれはもう20年近く前の話で、俺も当時はまだ30代だったし、新人も実は俺とそれほど歳は変わらなかった。
とにかく、俺たちは夜の田舎道でひたすらトラックを走らせていた。道のりはまだ長く、俺は疲労も感じてきたので、その新人に少し運転を替わってもらうことにした。会社からは、横に乗せておくだけで運転は自分でしろと言われていたが、会社から遠く離れた田舎道なので、会社の人間にバレるわけもないと思った。
しばらくは1本道をただ真っすぐ走るだけだ。これも新人には勉強になる。

嵐が来た

それで新人に運転を任せ、俺は助手席で少し目をつぶって休むことにした。
体感では5分くらいしたところだろうか。車体に雨風が当たるのを感じて目を開けた。見ると、ヘッドライトに照らされた車外は、嵐が吹き荒れているようだった。
雨風がすさまじいと路面は滑りやすくなるし、視界も悪くなるし、何かあったら大変だ。新人に任せておくのはヤバいかもしれない。
そう思ったとき、前方に明かりが見えてきた。飲食店のようだった。
このとき、首の後ろあたりがゾゾッと逆立つのを感じた。
おかしい。通い慣れているこの道は、こんなところに飲食店はないはずだ。新人が道を間違えようにも、ずっと1本道のはずだし。
とにかく、安全運転を考え、俺は新人にその店の駐車スペースにトラックを停めるように言った。

オムライスとトンカツ

とにかく、その店の中に入ることにした。
それは洋食屋で、店内はきれいに掃除も行き届いていた。時刻はすでに10時を回っていたからか、客は誰もいなかった。俺たちはメニューにあったオムライスとトンカツを注文した。どちらもいかにも昔ながらの洋食屋の味でおいしかったが、どちらも2人前を注文したのに、それで2人前の合計が1000円ちょっとという安さに驚いた。
俺たちはとても満足し、特に俺は疲れも吹き飛んで、自分でしっかりハンドルを握って再びトラックを走らせた。腹の皮が突っ張るとまぶたが垂れるという通り、今度は新人が助手席でうつらうつらとなってきた。そのうち、嵐も収まったようだった。
さて、その店の食事がおいしくてボリュームもあり、しかも安かったので、俺たちは帰りもそこに寄ることにした。
その帰り道はずっと晴れて天気も良かったが、なぜかあの洋食屋が見つからなかった。不思議に思った俺は、田舎道を抜けて街に出たところで、古びた喫茶店に寄り、そこの店主を務める年配の女性に、俺たちが先日寄った洋食屋のことを聞いてみた。
すると店主は、その田舎道に30年前まで洋食屋があったが、とっくに閉店していると教えてくれた。オムライスとトンカツが看板料理だったとか。

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