工場から工場へ
俺はトラックドライバー。毎日、部品工場から組み立て工場まで部品を届けている。
俺は毎日、安全運転を心掛け、安全に、的確に部品を運んでいる。そんな俺が運ぶ部品を、組み立て工場では必ず誰かが待っていてくれる。
組み立て工場まで、産業道路でトラックを走らせていると、次第に夕焼け空になり、乾いた道に砂ぼこりが舞う。しかし、陽はなかなか沈まない。
トラック運転手は拘束時間が長く、その割りに低賃金で過酷な仕事だと言われることもある。
過酷というと大げさだが、確かに辛いとき、苦しいときもある。ただ、それにももう慣れた。
決して満ち足りた人生とは思わないが、選んだのは自分なので、後ろを振り返ることもない。
そんな俺を、工場では今日も待ってくれている。
流れ続ける血
トラックドライバーを「社会からはみ出た、底辺のヤツ」と言う人間もいる。
俺は確かにそうかもしれない。高校時代は荒れていた。親を泣かせたこともある。それは俺の心に深く突き刺さり、傷口はまだ開いたままのような気がする。
そんな痛みが、俺の生きている証かもしれない。
俺自身もトラックも、山や谷をいくつも越えてきた。
自分勝手な生き方だったかもしれないが、責任は自分で引き受ける。泣き言を言っても仕方ない。
こんな俺を、工場では今日も待ってくれている。