仮に
私は地方都市で小さなタクシー会社に勤めています。と言っても事務仕事をしていて、運転手ではありません。
小さな町だからなのか、たまたま私の幼なじみも同じ会社です。それも2人いて、2人ともタクシー運転手です。
幼なじみですが、それほど親しい友達というわけでもないです。ただ、2人とも小学生のころから知っていました。
1人は明るく陽気な子でした。仮にA君としておきます。学力はそれほど高くもなく、器用でもなく、スポーツが得意だったわけでもありません。とにかく、細かいことにこだわらず、物事や他人の良いところを見つけ、勉強でも何でも積極的に楽しんでやっていました。
もう1人、B君は昔から学力がそこそこ優秀で、実際、いわゆる賢い子でした。ただ、責任感が強い反面、落ち込みやすいところもありました。
2人とも高校はそれぞれ別だったので、今の会社で久々に再会しました。いつもニコニコしているA君と、深く考えがちなB君というキャラクターは、あまり変わっていないようでした。
それぞれのやり方
タクシードライバーの仕事は、ドライバーの自己裁量に任されているところが多いのが特徴です。
先輩や上司も、どうやったらお客さんを多く見つけられるかを教えてくれたり、アドバイスしてくれますが、基本的に仕事の仕方は人それぞれです。上司が断定的に決めつけることはありません。
B君は論理的に考え、計画的に仕事を進めます。一方、A君はどちらかというとその場その場の状況に応じ、臨機応変に仕事します。
B君は計画的なので、収入も計画通りに伸びます。A君はでかく稼ぐ月もあれば、それほどって月もあります。
ただ、ミスや失敗があると落ち込み、収入も落ち込んでなかなか回復しないB君と違い、いつも陽気なA君は、とにかく楽しそうに仕事しています。あの笑顔が“幸せな人生”を引き寄せているようにも見えます。
タクシードライバーにもいろいろな人がいます。計画的に仕事せず、しかも愚痴ばかり言っているような人は、あまり稼げていないようですが。