モテたかったあのころ
「セールスドライバーはモテる」と聞いて、ある宅配便会社に就職した。そこでセールスドライバーとなった。
容姿は平均並み、中肉中背、偏差値55、ファッションセンスと会話力は自信なしで、学生時代に彼女もいたこともあったけど、それも苦労して口説き落とした結果。まあごく平均的な、そこそこな女性遍歴だ。
そんなんだからこそ、やはり「女性にモテたい」と、ずーーーーっと思っていた。男だもの。
セールスドライバーは、行く先々の家庭では主婦にモテ、企業ではOLにモテ、しかも未婚の女性からは「結婚相手」として熱い視線を送られるとか。話半分としても、‥配達先の女性の半分からはモテるに違いないわけで。
ステキなエンディング
ここまで読んだ人は、オチも察しがつくと思うけど、セールスドライバーになったからって、それでモテたりはしませんでしたよ。
そう、いきなりモテるわけはない。でも、毎日セールスドライバーとして働いて荷物をせっせと運んでいるうち、中肉中背だった体格は徐々に細マッチョに変貌。男ってのは不思議なもので、筋肉がつくとなぜか自信もつく。尻も引き締まる。
尻が引き締まると、ハキハキと元気に話すようになる。それにセールスドライバーは単なるドライバーではなく、営業マンでもあるから研修ではコミュニケーション力も鍛えられ、そのせいか、自然と口調がジェントルになり、ふだんからも気持ちがジェントルマンになったり。
さて、相変わらずモテ男にはなっていないけど、素敵な女性と結婚して、可愛い娘には恵まれましたってオチ。