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トラックドライバー 体験談

トラックドライバーは消えゆく職業なのか

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永遠に

トラックドライバーはアナログな仕事で、それゆえ時代遅れだという。
消えゆく職業だと言う者までいる。
そうなのか? 激増する仕事量を見ると、まだ100年はなくなりそうにもないが。
トラックドライバーの中でも長距離の仕事は、自分のものでもない荷を積んだトラックを長時間運転し、その荷を待つところまで運ぶ。昨日見た景色と今日見る景色は全く違い、その土地ごとで吹く風も違って感じられる。
陽が沈みかけて空がオレンジ色に染まるころ、左右に畑や荒れ地が広がる道をひた走る。行き交う車は少ない。やがて対向車も、前を走る車も見えなくなると、このまま見知らぬ外国にでも行き着いてしまうのじゃないかという錯覚にとらわれる。
ふと、この時間がずっと続いてほしいと願ってしまう。

「ご当地グルメ」とやら

やがて住宅がポツリ、ポツリと見えるようになり、店やバス停なんかが並び始め、トラックは田舎町に入る。そのころにはすっかり夜になっている。
コンビニ弁当も良いが、そういえばこの街には昔からトラックドライバーたちがよく利用する鉄板焼きの店があったはずだ。そんな話を同僚に聞いたことがある。時間にもまだ余裕があることだし、今晩は「ご当地グルメ」とやらを楽しむことにしようか。
その店は産業道路から1本外れた旧街道沿いにある。旧街道沿いなので、前もって知らないとたどり着けない。
その古びた店に入ると、ひと目で同業だと分かる、むさ苦しいおっさんたちと、店と同じくらい古びた店主夫婦が迎えてくれる。
この店でも一番人気がありそうだった、スタミナ鉄板定食ってのを注文。豚の内臓なんかをキャベツ、タマネギ、ピーマン、もやしと一緒に独自のタレで炒め、鉄板の上に乗せて出してきた。これに大盛りのご飯と味噌汁がつく。濃い目の味付けのタレが絶品で、まさに体力が回復しそうなスタミナ飯だった。

消えた店

トラックに戻ると、そのまま目的地に向かって走らせた。お腹と舌が何とも言えない満足感に浸っていた。「また来たい」と思わせる味とボリュームだった。
そこで復路で、またあの満足感に浸りたいと思い、産業道路から1本外れ、旧街道をたどった。しかし、ない。あの古びた鉄板焼きの店が見当たらないのだ。
どうしてもあの味を食べたい口になっていたので、納得できずに旧街道を何度か往復した。確か、やはり古びた喫茶店の2軒ほど隣にあったはずだ。しかし、その店がこつ然と消えているではないか。
仕方なく、その古びた喫茶店の前にトラックを停め、喫茶店のマスターに鉄板焼きの店について聞いてみた。
すると「その店なら5年前に閉店したよ」と言う。頭の中に「?」が何個も浮かんでは消え、腹の虫が「くう~っ」と鳴った。

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