名誉シェフ?
世間には名誉会長、名誉幹事、名誉理事などといった、いわゆる「名誉職」というものがある。実務をしていなくても務まる、名義上の役職だ。
僕はトラックドライバーだが、この業界に名誉会長はいても名誉ドライバーはいない。トラックを運転しないのに、名義上だけトラックドライバーと称するなんてのはおかしな話だからね。
名誉教師、名誉シェフ、名誉営業職なんてのもいないのと同様だ。
ただ、トラックドライバー自体はとても「名誉ある仕事」だと思っている。トラックドライバーが荷を運ぶという仕事をしているからこそ、人々の生活や企業の活動が成り立ち、それだけ社会貢献度の高い仕事をしていると言える。
これは胸を張って誇れる仕事であり、それは世間からも認められるものだと思う。
栄光をつかむまで
ただ、トラックは車体が大きく、周囲の皆さんに不要な圧迫感を与え、ときとして物理的に邪魔になっていることもある。万が一にも事故など起こさぬように安全運転に細心の注意を払っているが、それでも事故はなくならず、しかもそのときには相手の被害のほうが大きいことが圧倒的に多い。
存在感と事故のことを思うと、身が縮こまる思いだ。
だからと言って、ひるむわけにはいかない。名誉や誇りは胸にしまい、とにかく無事故・無違反を貫き、ひたすら安全だけを心掛けて荷を無事に届けることに専念する。
それさえできれば、栄光を手にすることができるのだ。