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トラックドライバー 体験談

人情裏会社

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目玉焼き

これは今は昔、遠い昭和の話。
俺のじいさんは運送会社でトラック運転手として働いていた。その会社は、まさに悪いイメージ通りトラック運転手の吹きだまりで、従業員はいかにも荒くれ者ばかりという感じだったらしい。皆、社会から落ちこぼれ、いつの間にかたどり着いたのがその会社だった。
だが、日本全体がまだ貧しく、じいさんの会社の従業員も「困ったことがあればお互い様」と、肩を寄せ合い、助け合って暮らしていた。
そんな会社でじいさんは20代から30代後半まで働いていた。
トラック運転手たちは、誰かが困っているという話を聞くと皆が親身になって話を聞き、できるだけのことをした。お金で困っているというと、皆で少しずつ出し合っていた。
俺のじいさんは当時独身だったので、中でも大金を工面したらしい。その割りに、近所の食堂でいつも注文するのは、一番安い目玉焼き定食だった。

子連れで

キツイ仕事を押し付けてきたりする配車担当者は、皆からちょっと嫌われてもいたが、妻に逃げられたとかで、しょっちゅう赤ん坊を背負って子連れ出勤していた。ただ、営業所長は、何だかんだ言ってその子連れ出勤も見て見ぬふり。
子だくさんの運転手もいたらしいし、勘当された大会社社長の息子で運転手になった人もいたとか。
その会社のトラック運転手は個性的な人ばかりだったと、じいさんはよく遠い目をして俺に話してくれた。
口も悪く、ときには社内でケンカ騒ぎも起きるような会社だったらしいけど、情に厚く、気持ちの良い連中ばかりだったそうだ。

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