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トラックドライバー 体験談

歳を取ったからと言って

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自慢と悪口

私の父親は晩年、引退して家にいることが多くなると、途端におしゃべりになった。いや、もしかしたらもともとおしゃべりだったのに、仕事が忙しくてあまり家にいないから家族が父のおしゃべりに接する機会がなかっただけかもしれない。
昭和の昔は、男のおしゃべりは嫌われたものだけど、まあ、それはどうでもいい。ただ、私が辟易としたのは、父の話というのが「自慢話」「他人の悪口」のどちらかだけだったことだ。どちらも、長時間聞かされて心地の良いものではない。
というわけで、私自身は極力、おしゃべりにはなるまいと決心した。特に「自慢話」「他人の悪口」だけは口にするまいと誓った。

自慢を自重した自慢

だが、自分も歳を取ると、ついついいろいろ話したくなってしまう。歳を取るってことはそれだけ多くの経験を積んできたわけで、そうやってインプットしてきたものをアウトプットするというのは大切なんだけど、それでもやはり「自慢話」「悪口」「はしたない」ので自重したいとは思っている。
自重できていると言いたくもなるが、そんなことを言うとやはり「自慢話」になるかもしれない、なんて話がすでに自慢か。「俺は自分の自慢話に気付けているぞ」という自慢
とにかく先日、たまたま1人酒を楽しみに入った居酒屋で、偶然、隣席でやはり1人酒を楽しんでいた若者と、何となく話し始めた。

エモい

私はトラックドライバーの仕事をしていて、これまで北は東北から南は九州まで行って、いろいろな荷を運んだ、なんていう自分の職業の紹介を語った。聞くと、その若者は運転免許さえ持っていないし、車を運転したいと思ったこともないという。
それでつい、トラックの魅力やら運転の醍醐味なんかも語ってしまった。
何だか、自慢話になってしまったような、落ち着かない心持ちになっていたら、その若者が「トラックドライバーって仕事、エモいっすね」と言った。私は一瞬「エロい」と聞き間違え、もしかしたらバカにされたのかと思ったが、よく聞くと「エモい」という、今の若い世代がよく使うスラングらしかった。
トラックドライバーってのは、ずっと昔から続く、社会貢献度の高い、大変な仕事であり、しかも基本的にたった1人でその大変な仕事をやり遂げるので「エモい」らしい。
これからは「俺の仕事はエモいんだぞ」と、自慢して回りたくなった、ような気がした。

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