人間とは何か
人は弱い生き物なのかもしれない。
「出る杭は打たれる」と言うが、集団の中で息を潜め、なるべく目出たないようにする。少しでも目立つと周囲から攻撃され、排斥されるからだ。
自分たちより優れた存在は絶対に認めない。とにかく、皆一緒であることが求められるし、それが正しいと信じている。
青春時代の楽しさを犠牲にしてまで勉強し、一流大学に入り、一流企業に就職すれば、高い収入を得るのも「仕方ない」として、一流企業のビジネスマンへの無益な攻撃は控えるが、特に有名大学を出たわけでもないのに高収入を得ている者は容赦なく攻撃する。
自分を認識
たとえその仕事が、人々の生活や経済活動を支え、その仕事がなければ社会が成り立たないような貴重な仕事であっても、いや、そうだからこそ決して認めない。むしろこき下ろす。それはもう必死にこき下ろす。曰く「底辺職だ」「荒くれ者だ」「頭が悪いヤツばかり」と、容赦はない。
実は、自分自身もそうだった。直接その仕事に就いている人に会ったこともないのに、周囲の友人知人たちがこき下ろすのを聞いて「そうだ、そうだ」と、無自覚に同調していた。
そんなある日、あの人に出会った。
その人は洗練されていて、知識が豊富で、頼もしさもあり、しかも溢れるユーモアでいつも周囲を明るくする、素晴らしい人だった。その人に興味を持ったので、さりげなくどんな仕事をしているのかを聞いてみたら、その仕事だった。