今ならお得
人を救うこともできる力を持ちながら、人はすぐに争いを始めてしまう。それだけの力があるなら、人を救ったほうが、助け合ったほうが合理的なのに、人は安直な道を選びがちだ。
人類の歴史は地球の歴史の中では全く浅いが、それでも人の寿命を考えると、人類が誕生してからかなり長い。それでもまだ合理的に生きるほど賢くはないようだ。
そのくせ、大した違いもないのに隣人のことを「頭が悪い」と、さも自分が賢いように言いたがる。「今ならお得」とあおる宣伝も「賢い人ならお得を放っておかないよ」と言いたげだ。
ある医者がこんなことを書いていた。「手術で内臓を見ると、社会的地位がある人もない人も、美人もそうでない人も、収入が低い人も高い人も、誰もが同じ位置に内臓がある」のだそうだ。
富士の雪も京都の雪も雪に変わりはない
もちろん、内臓は誰も同じ状態じゃないだろう。食生活でも違うだろうし、年齢によっても違ってくる。それでもひと皮向けば位置は同じだ。肌の色も関係ない。
また、遺伝子学者によると、人の遺伝子は人によってほんの少ししか違わないのだそうだ。きっと、人類はまだおしなべて「賢くない」んじゃないかと思う。
一般的に社会的地位が低いように見られがちなトラックドライバーも、自分で「社会的地位が高いんだぞ！ えへんぷい」なんて思っている、エリートと自負する一流企業のビジネスマンや政治家だって、実際のところは大した違いはなく、総じて「賢くない」のだろう。
もちろんこういう賢いようなことを上から目線で書いている当人だって、決して「賢くはない」。