しょぼくれ
僕がトラックドライバーとして勤めている運送会社の社長は、50代半ばでなかなかしょぼくれている。
もともとそういう人だったのかもしれないし、この物価高で燃料代も高騰しまくり、日々、会社の経営に頭を悩まし続け、いつの間にかしょぼくれてしまったのかもしれない。
もしかしたら、中肉中背より少し小柄、小太りで頭髪もめっきり薄いその外見に、30代の僕に偏見があり、必要以上にしょぼくれていると見ているのかもしれない。
社長がそんなんだからか、僕より年上ばかりの他のトラックドライバーたちにも覇気はない、ように感じる。トラックドライバーはトラックの運転が仕事なので、社内にいることは滅多にないのだが、配送が終わり、全体的に覇気のない会社に戻るのは、僕も何だか心が重くなる。
あわよかれん
そんな我が社に半年前、初めて女性ドライバーが入社した。40代で専業主婦だった人だが、子どもが中学生になったのでパートでドライバーの仕事に就こうと考えたとか。
この女性ドライバーがとにかく明るい人柄で、この人が会社にいると、社内がパッと明るくなる、ような気がする。
会社の雰囲気が変わると、先輩ドライバーたちも今まで以上に仕事にやる気を出すようになった。すると、社長もみるみる明るく、前向きになってきた。「女性ドライバーをもっと増やそう」なんて言い出すほどだ。
女性が増えることでの「あわよくば」という、不埒な考えを持ったわけでは、もちろんなさそうだ。
確かに、せめて30代の若い女性ドライバーでも入社すれば、男性ドライバーたちの鼻の下も多少は伸びるかもしれないけど、それはまた別の話。