明るく、たくましく、優しい
俺がトラック運転手になったのは、それを使命と感じたからだ。
俺の実家は町工場をやっている。町工場に限ったことではないが、生産現場に欠かせないのは、部品や製品を運ぶ足。つまり、トラック輸送だ。
俺も小さいころから、我が家の従業員たちと同じくらい、多くのトラック運転手のオッチャンたちを見てきた。明るく、たくましく、優しいオッチャンたちだった。自然と俺は、工場で働く親よりもトラック運転手たちをカッコいいと思うようになった。
そんなトラック運転手がここのところ人手不足だという。ネットで検索しても「トラック運転手は底辺職」だの、マイナスイメージが飛び交っている。
俺がやらねば誰がやる
トラック運転手は我が家の仕事に欠かせないだけじゃない。スーパーに商品を運んだり、海外からの輸入品を日本中に運んだり、人々の生活や経済にはなくてはならない存在だと言っていい。
そんなトラック運転手が人手不足に陥り、しかもマイナスなイメージまでまかれているなんて、そんな理不尽は見過ごしにできない!
そんなわけで、俺はトラック運転手になった。「俺がやらねば誰がやる」という使命感からだ。
ただ、実際にやってみると、給与は歩合制なのでたんまり稼げるし、仕事中は1人なので気ままだし、トラック運転手になったのは正解だった。
「使命」は「命を使う」と書く。こんな仕事なら、トラック運転手の仕事に「命」を「使う」のも悪くない、と思う。