横綱を倒す
金星と書いて「きんせい」と読むと太陽系の惑星のことだが「きんぼし」と読むと、本場所で平幕の力士が横綱を倒すことの俗称だ。もちろん、力士の給料にある程度の額が上乗せされる。
そんなことから、私がトラック運転手として働く会社には、特別手当が付くような仕事を「金星」と言う習慣がある。十数年前に在籍した相撲好きの運転手が使い始めた表現で、今では我が社の運転手の間で定着している。
そんな金星が付く仕事と言えば、休日出勤だ。他にも手当はいろいろあるが、中でも休日出勤手当を我々は金星と呼んでいる。
というのも、やはり休日出勤は「本来は休みたい日に働く」ために「ヤレヤレ」という気持ちが強く、せめて「金星だ」と言って気持ちを奮い立たせたかった、ということがあるからだ。
各種手当
私も、その金星を何度か手にした。
初めて休日出勤した日は「金星」と言い始めた先輩運転手の気持ちが分かったような気がした。やはり「休日は休みたいよな」と、内心愚痴りながらハンドルを握ったからだ。
しかし、給料日に特別手当が反映された明細を見ると、それはそれで気持ちが良いものだった。
ちなみに我が社には休日出勤手当の他にも長距離手当、無事故手当、時間外勤務手当、扶養手当、皆勤手当がある。大体、いつももらっているので普段はあまり意識しないが、こうして見るとトラック運転手の仕事は「やればやっただけ稼げる」と実感できる。