ドライバーのための転職情報コラム

KORAPITA(コラピタ)

トラックドライバー 体験談

「トラック野郎」なんて大嫌い

更新日:

貢ぎグセ?

私はアラフォーの独身女だ。若いころはいろいろな男性と付き合ったが、なんか「頼りない男」につい貢いでしまうタイプだと自覚するようになり、ここのところ恋愛とは無縁になっていた。仕事は今は在宅作業が多いので、誰かと知り合う機会もあまりない。
そんな私が住むアパートの階下に新しい住人が引っ越してきた。男性だ。今どきには珍しい、律儀な人なのか、わざわざ引っ越しのあいさつに来て、私は家にいることが多いので、直接応対して顔を合わせた。
その後もアパートの前でちょくちょくあいさつを交わすようになり、細かいことは省略するが、実は半年ほどして付き合い始めた。お互いにお互いの部屋を行き来するようになった。
彼はトラック運転手の仕事をしていて、朝早く出掛けて帰宅は遅い。それで彼が勤務中は、自分のものと一緒に彼の衣類も洗濯してあげたりしていた。「また貢ぐクセが出たかな」と、思わず苦笑いが出た。
もちろん、彼はしっかり稼いでいるので、私がお金を貢ぐことはなかった。

泥臭くて

彼は私より5歳は年下だったが、私は何となく「結婚」も意識し始めていた。彼も同じ気持ちなら良いと思ったが、年齢から、逆に怖くて聞けなかった
彼がトラック運転手になったのは映画「トラック野郎」シリーズの影響だという。子どものころに父親が借りてきたレンタルビデオを見て、すっかり魅せられたという。
とは言え、彼はガラの悪い「トラック野郎」の主人公とは違い、おとなしかった。ただ、主人公の人情の厚さが好きなのだそうだ。
それで、DVDで「トラック野郎」を全巻そろえていて、休みの日にもちょくちょく見ている。私も横で一緒に見ることがあったが、どうも泥臭くて好きになれなかった

ついに大台

「トラック野郎」の主人公は長距離のトラック運転手のようだったが、彼は中距離の仕事をしているのか、仕事で何日か家を空けるなんてことはなかった。しかし、時々ボソッと「長距離の仕事に変わろうかな」と口にした。
私は「私と距離を空けたいのかな」なんて思って、それも怖くて「なぜ?」なんて聞けなかった
やがて、私がとうとう大台に乗る誕生日が近づいた。近づくにつれ、彼が何か私に言いたそうな素振りを見せるようになった。「別れ話かな」と勘繰った私は、あえて彼とじっくり話す機会から逃げた
誕生日は、派手ではなかったが、彼の優しい心遣いが感じられるものだった。
その数日後、用事があって出掛けて家に帰ると、郵便受けに彼からの手紙が入っていた。「長距離の仕事を始めたんで、何日か帰れない」とあった。私は「ついに、私と別れたくなったのか」と思って涙ぐんだ。
そこに携帯電話が鳴った。彼からだった。
手紙に書こうと思ったが、やはり電話ででも直に言いたいので電話したという。そして、私との結婚を考え始めたので、より収入の良い長距離の仕事に移ったこと、それを直接言いたかったけどなかなか言えなかったこと、「トラック野郎」のDVDを私に預けていくことを告げられた。
「トラック野郎」なんて、大嫌いだ。

-トラックドライバー, 体験談
-,

Copyright© KORAPITA(コラピタ) , 2024 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.