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トラックドライバー 体験談

音はすれども姿は見えず

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いろいろゆるかった世の中

もう20年以上前のことです。
当時、私は20代後半で、今と同じトラック運転手の仕事をしていました。まだ、世の中は今ほど規制にうるさくなく、私も若かったので、今思うと無茶な働き方をしていました。1週間くらい、1日の睡眠時間が2~3時間だったこともあります。さすがに運転中に強烈な睡魔に襲われました。事故も起こさず、無事だったのはただ運が良かったからでしょう。
その日も、徹夜に近い日が続き、半ばもうろうとしてトラックを運転していました。真夜中でしたし、山の中で、私のトラック以外に走っている車もなかったので、他の車に迷惑をかけるわけでもないと、私は若さに任せて運転を続けていました。
そのうち、トラックの周囲を霧が囲み始めました。熱帯夜の続く夏だというのに、何かひんやりしてきたようにも感じました。
霧があまりにも濃くて、トラックの前方が見えにくくなってきました。山道で何もないということは分かっていたのですが、私は念のためにトラックを停めました。仮眠でも取って霧が少しでも晴れるのを待とうと思ったのです。

もうろうと

それでエンジンも止めたのですが、そのとき、何やらトラックの外に人の気配を感じました。それも1人や2人ではなく、集団です。ただ、そこに「いる」のではなく、激しく走り回っているような感じでした。
叫び声や、何かと何かがぶつかる音が聞こえたような気がしました。つまり集団が争うような気配でした。
しかし、影も形も何も見えません。音と言うか、気配だけを感じるのです。
私は何やら恐怖を感じ、トラックのエンジンをかけ、恐る恐る発進させました。確かに舗装された道路を走っていたはずなのですが、砂利道のような、野原を走っている感覚が体に伝わりました。
ただ、それもほんの数秒のことで、みるみるうちに霧が晴れ、トラックの前方にはそれまでと同じ山道が伸びています。
私はなんだか眠気も覚めてしまいました。
翌日、その晩の体験を思い返してみました。疲れていて意識がもうろうとしていて、脳の勝手な妄想をリアルに感じたのかもしれない、とも思いました。
しかし、調べてみると、その地域は戦国時代に合戦があったところだったと分かりました。何かの拍子に、トラックごとタイムスリップしてしまったのかもしれません。それとも、いわゆる心霊体験だったのかも。

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