外見はともかく
同僚のトラックドライバーに片思いしている。
と言っても、その人は決して外見が良いわけではない。笑顔になると見える歯並びも悪く、体型もモデル並みとはいかない。
目は小さくて鼻は団子鼻で、髪はチリチリ。職業柄なのか、言動も少々荒っぽい。
ただ、言動が荒いのはあくまでも「少々」だ。
この人に思わずホレてしまうポイントは、仕事が「デキる」ところにある。そして「デキる」トラックドライバーは繊細な運転技術、並外れて効率的な荷役作業力、物腰柔らかく、相手を安心させるコミュニケーション能力が必要なのだ。
だからこそモテる
言動の「少々」の荒っぽさは生まれながらの「愛嬌」でカバー。この人は得意先の担当者からも好かれる一流のトラックドライバーだ。ホレないわけにいかない。
そんな誰からも好かれる存在なんだけど、眉目秀麗じゃないばかりに誰も狙っていないみたい。たぶん独身。
ここは勇気を持って、いつか僕から告白してお付き合いしたい。マジで。恋人とかいなきゃ良いんだけど。
こんな思いは初めてだ。以前の僕ならあんなタイプにはホレなかっただろう。
僕がトラックドライバーになったのはほんの1年前。その僕の先輩としてその人と出会った。この出会いも含めて、トラックドライバーになったのは運命だったのかも。
ちなみに、僕が片思いしている人は女性トラックドライバーで、これは同性愛の話じゃないからね。