タクシー乗りませんか?
タクシー運転手という仕事には、ギャンブル的な要素がどうしてもあります。
タクシー運転手として売り上げを伸ばすには、どうしても自分の努力や技術だけでは補完できないことがあるのです。それは「運」に頼らざるを得ない領域です。
タクシー運転手は、こちらから道行く人に声をかけ、「タクシー乗りませんか?」とアピールするわけじゃありません。ひたすら、お客さんに見つけられるのを待ちます。そのため、なるべく、タクシーに乗りたい人がいるような場所に行きます。
例えば駅です。駅前にはタクシー乗り場があります。電車を降りた人がタクシー乗り場に列をつくる光景を見たことがある人も多いでしょう。
とは言え、駅にいつも「タクシーに乗りたい人」がいるわけではありません。駅前で長い時間、お客を待つくらいなら、街を走ってお客さんに見つけてもらうほうが効率的、というときもあります。
「長」と「短」
たとえお客さんを乗せたとしても、ほんの短い距離の移動で終わるかもしれません。しかし、タクシー運転手にとってありがたいのは、より長距離になってくれるお客さんです。それだけタクシー料金も高額になりますから。
こまめに乗せたり降ろしたりをしていると、やはり乗っていない時間が積み重なります。タクシー運転手は、お客さんをタクシーに乗せている時間が長いほど、売り上げも伸びるのです。
ただ、どのお客さんが長距離の移動を希望しているか、見た目だけでは分かりにくいものです。それに、もしこのお客さんは短距離移動で、あまり大きく稼げないと思っても、呼び止められれば乗車拒否をするわけにはいきません。
どこに行けば、お客さんに見つけてもらえるか、それもなるべく長距離を希望するお客さんに見つけてもらえるか、これらは「運」任せになってしまいます。
度胸とカン
よほど経験を積むと、遠くに行きそうか、近くなのか、お客さんを見ただけで予想がつくようになるそうです。くどいようですが、距離が近いからと言って、その目的地を言われて乗車拒否してはいけません。嫌そうな顔をするのももってのほかです。
タクシー運転手にとって、接客術、安全な運転技術、お客さんの動向をつかむマーケティング術は、売り上げを伸ばすには欠かせません。
とはいえ、タクシー運転手という仕事に「運」任せの側面があるのも確か。「乗せたとこ勝負」のある種のドキドキも、タクシー運転手という仕事の醍醐味の1つなのではないかと思います。