利用者と事業者の損得
相変わらずトラック運転手の人手不足が続いています。
業界も問題点を重々承知していて、その問題の改善にも取り組んでいるようですが、そう簡単に解決するわけではありません。
もともと1990年の規制緩和によって事業者数が増えて過当競争が起こり、そのために長時間労働&低賃金という状況が慢性化し、運転手のなり手が激減していった、というのがこの問題の経緯のようです。
過当競争によって運送料が低くなり、サービスが増えたわけですね。それで長時間労働&低賃金になったのでしょう。
消費者、荷主にとってはありがたい状況ですが、あっちを立てればこっちが立たずというやつで、事業者にとっては苦しい状況になっていきました。痛しかゆしと言いますか、両方のバランスは少しずつ取っていかなければならず、それで「人手不足が続いています」ってことになっています。
もともと行政によって過当競争が起こったからなのか分かりませんが、行政が業界の労働環境の改善を進める法整備を進めています。とはいえ、経営者としてはそれで従業員が増えたとしても仕事の依頼が減ってしまっては元も子もないので、そこはやはりバランス取りながら、になります。
法的に守られているトラック運転手
あらゆる労働者が、法的には労働基準法で守られています。
トラック運転手の労働基準法によると、始業から終業までの拘束時間は原則1日13時間までで、延長する場合は16時間までになっています。
勤務と勤務の間の休息時間は継続8時間以上、分割して取る場合も1回4時間以上と決められています。運転時間は最大継続4時間までで、運転時間の限度は2日で平均9時間までです。
しかも、4時間運転するごとに最低30分の休憩を取らなければいけません。休日は休息時間に連続した24時間を合わせた時間と規定されていて、休日労働は2週間に一度のみ認められるとなっています。
一般的な労働者の基本的な労働時間は1日8時間ですから、拘束時間が原則13時間もアリ、というのは確かに長時間です。ただ、その分、休憩時間もきちんと法的に決められているといったことは、一般にはあまり知られていません。
物流は経済の血流でもありますから、それを担うトラック運転手の仕事はなくてはならない仕事です。この労働基準法を背景に、業界の労働環境の改善がどんどん進めば、人手不足という状況も解消されていくに違いありません。