マイナス要因を考える
私はトラック運転手として15年以上の経験を持つ40代です。
トラック運転手のなり手が減っています。トラック運転手という仕事に対するマイナスイメージが広まっているせいです。
トラック運転手のマイナスイメージというと「労働時間が長い」「給料が低い」といったものがあります。これはどちらも正確ではありません。長いのは労働時間ではなく拘束時間です。同じことじゃん、と思う人もいるかもしれませんが、厳密には違います。
労働時間は、労働している時間です。つまり、俳優という職業であれば、演技している時間が労働時間です。メイク係にメイクされている時間や、衣装に着替えている時間は労働はしていません。ですが、労働のための時間として拘束されています。
トラック運転手の仕事では、トラックを運転している時間は労働時間ですが、荷役の待ち時間は労働時間ではなく拘束時間です。
とはいえ、もちろん法的には荷役の待ち時間も労働時間にカウントされますよ。ちなみにトラック運転手にもさまざまな労働形態があり、この拘束時間が長くないトラック運転手の仕事もあります。
イメージを検証
トラック運転手の仕事には、確かに拘束時間の長い仕事もあります。そこは確かに、マイナスイメージそのまんまです。
ただし、長時間の拘束時間でも休憩時間はあります。ですが、やはり「プライベートな時間じゃない」拘束時間が長いのは嫌なものです。それは当然です。「拘束時間が長い仕事はしたくない」と強く思うのであれば、拘束時間が長くないトラック運転手の仕事を探しましょう。ドライバー専門の求人サイトを活用すれば見つかるはずです。
「給料が低い」というマイナスイメージですが、それはひと昔前に比べてということであって、実際のトラック運転手の給料は月に25万円~30万円で、決して低くはありません。
ただ、月収25万円~30万円なんて「低い!」と文句を言いたくなる気持ちも分かります。あらゆる企業が、もっと豪勢に給料を払う世の中になってほしいと、心底願います。しかし実際は、あらゆる経営者がなるべく人件費を削ろうと考えます。特に外国人と女性には低賃金なら低賃金であるほど良いと考えます。
トラック運転手は尊い職業
トラック輸送は国民の生活にとってなくてはならないものです。トラック運転手として働き、物流を支える人たちは全国民から尊敬され、1人残らず国から表彰されるべきです。
それでも、どうしても「拘束時間」が気になるなら、気にしないようになる方法があります。それは気にしないことです。これは冗談ではありません。
気になるのは「もしトラック運転手じゃなければ、この時間は家でコタツに足を突っ込み、家族と一緒にテレビを見ながらミカンを食べているのに、現実の俺はトラック運転手として1人きりでトラックの運転席に座って荷下ろしの順番を待っている」と考えてしまうからです。「こうありたい」という願望と「でも、実際はこうだ」という現実とのギャップに、気持ちが荒ぶのです。
ギャップがなくなれば平気になります。つまり「もしトラック運転手じゃなければ」を考えなければいいのです。「1人きりでトラックの運転席に座っている俺」を受け入れるわけです。ま、自分をだますわけです。私は長年、これで長時間拘束を乗り切っています。