好機逸すべからず
俺はトラックドライバーとして7年仕事をしている。大型なので、中型よりも収入はいいはず。だが、今年子どもが生まれ、俺はさらなるキャリアアップを考えた。
トラックドライバーには商事会社や製造会社のような役職はない。先輩、後輩といった上下関係はあるが、稼ぐか稼げないかは仕事をやったかやらないか、だ。トラックドライバーを何年やっても昇進はない。
いや、セールドライバーだと管理職とかもあるみたいだけど、俺ら中小企業にはそういうのはない。
となると、トラックドライバーとしてキャリアアップするなら、より高度な仕事に就くことだ。そこで俺が考えたのがタンクローリーの運転手。
虎穴に入らずんば虎児を得ず
タンクローリーが運ぶのはガソリン、灯油、軽油、ガスなどの危険物が中心だ。俺が「タンクローリーを運転したい」と言うと、妻は「危険物を運ぶって危険じゃないの?」と、嫌な顔をした。
けど、タンクローリーの運転手の仕事は荷の手積み手下ろしもなく、体力的には今の大型トラックドライバーの仕事より楽だし、給料もいい。俺は、まだ30代のうちにタンクローリーという新しい世界でのキャリアをスタートさせたかった。
それで妻にも納得してもらい、転職に向けて準備することにした。
タンクローリーを運転するには大型運転免許のほかにも危険物取扱者などの特別な資格が必要だ。車両総重量が750キロを超える車両を運転する場合は、けん引免許も取得しておく必要がある。
今はその資格取得に向けて勉強中だ。それほど簡単な試験じゃないらしいんで大変だが、より良い俺になるための挑戦と思って踏ん張るつもり。