なくてはならないもの
タクシーって個人の要望に応じて行きたいところまで運んでくれる、とても便利なサービス業だ。だが、その分、バス・鉄道に比べて利用料金も高くって、庶民がそういつでも利用できるものでもない。
しかし、利用がたまに、だからといって、利用者からすればなくなってくれたらとても困る。とはいえ、タクシー会社からすれば、たまの利用ではとても経営が成り立たない。
そんなわけで、都会ならともかく、地方の過疎地ではタクシー会社の経営もなかなか難しいという。これを打開する試みとして浮上したのが「貨客混載」だ。つまり、貨物と旅客の輸送、運行を一緒に行う。
これまでも環境問題、地方の人口減少、さらにトラックドライバー不足の突破口として貨客混載が試されてきた。
タクシーの新しい可能性
2010年には札幌市の地下鉄で宅配便の拠点間輸送の実証実験が行われ、2011年にはヤマト運輸が京福電鉄を利用した宅配便輸送を開始している。つまり、宅配と鉄道の連携だ。
そうした動きの中、タクシー業界でも、2017年に北海道旭川市の旭川中央ハイヤーが、佐川急便と共同でタクシーを利用した戸別配送事業を開始。貨客混載の実用化が進められている。
佐川急便はさらに、今年2018年10月に京都府南部で営業するタクシー会社、山城ヤサカ交通と手を組んだ。山城ヤサカ交通のタクシードライバーが佐川急便の営業所で荷物を受け取り、その後は通常業務を行う。ただ、空き時間に荷物を笠置町へ配達。宅配物の集荷も請け負う。
苦境なりゃこそ
佐川急便はそれと同時に、JR北海道、北海道幌延町に本社を構える天塩ハイヤーとも連携する。佐川急便が集めた荷物を稚内駅に運び、そこから幌延町まではJRが普通列車で運び、さらにそこからはタクシーで家庭などに宅配するという。宅配、鉄道、タクシーの3者連携は全国でも珍しいとか。
「必要は発明の母」「窮鼠猫を噛む」と言うが、ドライバー不足が新しい連携を生み出したと言える。苦境の中にこそ飛躍の好機あり、と誰かが言ってたような気もする。
きっと進化を続けていくだろうタクシー業界、および運送業界。こりゃ目が離せそうにない。