冷たい浮世
全く浮世なんて冷たいものだが、そんな浮世にほのぼのとした灯をともしてくれる男がいる。友人のMで、トラックドライバーをしている男だ。
同じ男の俺が言うのも何だが、後ろ姿もたくましく、それにほほ笑むと瞳が涼しく光ったりして。
そんな男だから、男からも女からもそれ以外からも評判が良い人気者だ。
あのほのぼのとしたところが女の胸にも灯をともすのか、モテもする。
男が惚れる
実は俺もトラックドライバーをしているんだが、腕も気っ風も俺の上手をいくのがMだ。
「旅は道連れ」なんてのも古い言葉だけど、俺とMは気まぐれ同士でウマが合い、一緒にいることも多いが、憎まれ口をたたき合って口ゲンカばかり。
それでもいつもつるんでいるのは、まさしく「男心に男が惚れる」というやつ。
そういや最近「男心に男が惚れる」ってあまり聞かないな。多様性とタブーがごちゃごちゃで、そういう表現をしにくい世の中なのかな。