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トラックドライバー 体験談

消えた唐揚げ

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戦慄の3食

僕はトラック運転手の仕事をしている。
トラック運転手の仕事は体力仕事とは言われているが、実はそれほどカロリーを消費しない、らしい。けど、仕事が終わると、相当疲れている。だから、やはり体力仕事なんだろう。
朝もきちんとボリュームたっぷりの朝食を食べるし、昼食もどちらかと言うとガッツリとカツ丼だの焼肉定食だの唐揚げ定食を食べるのに、夕方、仕事終わりが近づくと、きっちり腹が減ってくる。それも判で押したように毎日だ。
毎日、毎日、仕事終わりが近づくと腹が減るので、夕食はもちろん、カツ丼だの焼肉定食だの唐揚げ定食をガッツリ食べる。誰にも文句は言わせない。
中でも唐揚げは大好きだ。気がついたら、朝昼晩と、3食とも唐揚げだった日がある。朝は唐揚げロール、昼は唐揚げ丼、夜は唐揚げ定食だ。さすがの僕もその恐ろしい偶然戦慄した。
知らないうちに、唐揚げに憑りつかれたのかもしれない。

見つけた専門店

そんなある日、会社の近くに、おしいいと評判の唐揚げ専門店が開店しているのを見つけ、僕は思わず狂喜乱舞した。その日の点呼で、部長から「大丈夫か? 熱でもあるのか? めまいはしないか?」としつこく聞かれたので、周囲の目には僕の狂喜乱舞がかなり異様に映ったのだろう。
そんなことは構うもんか。僕は仕事帰りにその唐揚げを買って帰ることが楽しみで楽しみで、いつもより仕事に集中できた気がした。
つまり、唐揚げに気を取られて仕事に集中できず、事故でも起こしてしまったらそれこそ唐揚げを食べられない。それだけは避けなければいけなかった。絶対にだ!
ただ、仕事が終わると、その日、どんな仕事をしたか覚えていなかったけど。
さて、その日の仕事を終えた僕は、いそいそと唐揚げを買いに行った。

ビチャビチャ

昼過ぎから降り出していた雨は本降りになり、空も雨雲に覆われ、初夏の午後6時過ぎだったが、すでに周囲は暗くなり始めていた。
昼食にきつねうどんとカツ丼を食べた僕は、何やら下っ腹に重いものを感じながらも、僕の五感を刺激してやまないその店の唐揚げをテイクアウトで購入した。6個入りだ。
僕は自家用車の運転席に乗り込むと、隣の助手席に今買ったばかりの唐揚げの袋を優しく置き、まるでオリンピック関係者を乗せたハイヤーのように、ていねいに自家用車を走らせた。
平静を装う僕だが、助手席が気になって仕方なかった。何か、助手席から漂う気配が、僕の鼻腔に入り込んでくるのを感じた。「もう少しの辛抱だ。家に帰れば、唐揚げを温める電子レンジが僕を待っている」と、自分に言い聞かせてハンドルを強く握った。
いつも20分くらいで我が家に到着するが、その日は1時間半にも感じた。
車を止め。唐揚げの袋を取り上げた僕は愕然とした。唐揚げが6個入っていたはずの袋はあっけないくらいに軽く、中を覗くと「から」、つまり唐揚げが無くなっていた。
代わりに、僕の左手には油がビチャビチャに残り、お腹がふくれていた…。
口の中には、唐揚げの旨みだけがしっかり残っていたのも、言うまでもない。

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