仕事の夢
僕はトラック運転手の仕事をしている。工場に製品を取りに行き、その製品を倉庫へ運ぶのが仕事だ。
仕事は好きだ。車の運転が好きなので、仕事の大半が「トラックの運転」というこの職業は「好きなことしてて給料もらえてラッキー」と思える。
好き過ぎてなのか、ついには仕事の夢を見た。
夢の中でもトラックを運転していて我ながら驚いた。夢に見るほどトラックの運転が好きなのかあ、と思った。
それも、ただ運転しているだけではなく、普段の日常通り、いつも行く工場に荷を受け取りに行った。
行くと、工場のスタッフが「我が社の新商品だよ」と言って、そのサンプルをくれた。そうそう、そこは飲料メーカーで、渡してくれたのは新商品の健康ドリンクだった。
勧められるままにその場でそれを飲んでみた。夢の中のはずなのに、口の中にその味が広がった、気がした。
とてもリアルな夢だったので、ものすごく強烈に記憶に刻まれた。
夢の仕事
そんな夢を見てから数週間後だったと思う。いつものように荷を積むために工場に行くと、工場のスタッフが新商品だと言って見せてくれたのが、あの夢で見た健康ドリンクだった。忘れようがない夢だったので、その新しいデザインを間違えるはずもなかった。
夢と同じように、勧められるままに飲んでみた。夢のときと同じ味が口の中に広がるのを感じた。
工場の人たちに変に思われないよう、平静を装ってはいたが、僕は相当動揺していた。そりゃそうだ。夢で見た通りのことが現実になったのだから。これって、いわゆる予知夢? カンが良いとか、第六感が働くとか、ましてや霊感があるなんてことは今まで一度もなかっただけに驚いた。
ただ、あれ以来、似たようなことは一切起こらない。もしかしたら、あのころはかなり仕事が忙しかったから、記憶が混乱して「夢で見たことが現実になった」と勘違いしたのかもしれない。実際は、現実で体験したことを、その後、夢で見ただけだったのかも。
どっちにしてもリアルな夢だった。