ドライバーのための転職情報コラム

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タクシー運転手 体験談

夜のタクシーは坂から出てきた

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穴場はどこ?

タクシードライバーの給与は歩合制になっていることが多く、僕もそうだ。たくさんお客さんを乗せて売り上げを伸ばせば収入も増える。
だから、なるべく多くのお客さんを乗せようとして必死になる。「それなら人通りの多いところに行けばいいじゃん」と言うかもしれない。それも1つの手だ。
しかし、人通りの多い場所は他のタクシードライバーも集まる。するとお客さんの奪い合いになる。これでは効率的に稼ぐことは難しい。
そんなわけで、タクシードライバーにとって理想的な穴場とは「タクシーを利用したい人が確実にいて、しかも他のタクシーが少ない場所」ということになる。ただ、そんな場所は滅多にない。
それで多くのタクシードライバーはそんな理想的な穴場を必死に探すことになる。情報を集め、調査し、実際に行ってみて検証し、また情報を集める。これを繰り返すしかない。

ヤバい噂

さて、僕の営業エリアに、確実にお客さんがいるだろうことが分かっていながら、ほとんどのタクシードライバーが行きたがらない場所がある。「出る」と噂される場所だ。実は僕もあまり行きたくない。
それは単なる「噂」ではなく、お客さんが行き先として指定するので、仕方なくその場所に行ったドライバーの多くが実際に目撃したりするので、なかなか「マジ」なのだ。
しかし、コロナ禍もあって売り上げが激減した時期、そうも言っていられなくて、僕はついにその禁断の場所にタクシーを乗り入れたことがあった。
そんな場所にはもちろん、夜には行きたくない。情報では夜でもタクシー利用者が見つかるらしいが、それでもゴメンだ。だが、昼間のうちに着くつもりで向かったのに、途中でたまたまお客さんが見つかったり、道が混んでいたりで、着いたら夜になっていた。

瞬間移動?

そこは街灯も少なく、いかにも「出そう」な雰囲気だった。「そうか、いかにも出そうな雰囲気だから、本当は何でもないものを見て勘違いしてしまうんだな」と勝手に解釈して、心を奮い立たせていつもよりほんの少し力を入れてハンドルを握った。
「しかし、本当にお客さんはいるのかな」と思いつつ、タクシーを走らせていると、確かにチラホラと歩行者はいる。その歩行者の挙動に注意を払いながら進んで行った。
やがて、少し前方、ちょうど右に坂道がある交差点に、こちらに向かって手を振る人影を見つけた。「よっしゃ」と思ってタクシーを停めようとしたとき、右手からすっと別のタクシーが現れ、そのお客さんを乗せてしまった。
あまりにも急なタクシーの出現に、僕はびっくりした。まるで瞬間移動でもして坂道から現れたように見えたからだ。それに、青黒い車体の、それまで見たこともない会社のタクシーだった。

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