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体験談

凍りついた時間

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緊張の中

彼氏を家に連れて行って両親に会わせるときは、いつもドキドキだ。
もちろん彼氏も緊張している。両親だって緊張している。
これまで、そう何人もの彼氏がいたわけじゃないので、私自身もそんな場面に慣れているわけもなく、場が和むような会話も思いつかない。それでその日も、テレビ番組を見ながらお茶を飲み、ひたすら時間が過ぎるのを待つことになった。
いや、本当は両親にしてみたら彼氏から聞き出したいことは山ほどあるはずだ。彼氏だって、両親がどんな人間かを見極め、これからの私との付き合いにそれを生かしたいと思っている。
要するに、お互いに腹の探り合い
そんなとき、テレビではニュース番組が始まり、トラック事故のニュースを伝え始めた。
すると彼氏が、冗談めかして「やっぱトラック運転手ってのは、他に仕事のできないような奴がなる底辺職っスね」と言った。
場が凍りついた。

失言の後で

父親がトラック運転手だったわけではない。
しかし、母の父親と兄がトラック運転手だった。つまり、親戚に2人もトラック運転手がいる家庭で、また、そんなことまで彼氏には教えていなかった。
それでも彼氏は場の空気に気付き「言ってはならないことを言ってしまったのかも」という表情で固まった。
その後の時間をどうやって過ごしたか、今となっては思い出せない。
だが、それで彼氏と別れるということはなかった。後で聞いたが、彼氏の祖父がトラック運転手だったらしく、彼氏がまだ幼かったころ、荒くれ者も多かった祖父の同僚に遊んでもらっていたこともあったという。
そんなトラック運転手を見下すような発言をしたのは、場を和ませるつもりの冗談だったようだ。
もちろん、そんな冗談は面白くも何ともないが、そういう判断ができないほどの緊張感だったのだろう。
失言の表面だけ見て、むやみと人を攻撃すべきじゃないと思った。

冬のできごと

そんなことがあって、そういえば、本当に「時間」が凍りついたことがあったことを思い出した。
それは私がまだ小学生低学年の冬の朝だった。なぜか、いつも起きる時間より1時間も早く目覚めた私は、布団から出てトイレに行った。
そこでおかしなことに気付いた。真冬だというのに、寒くないのだ。
もちろん、母が起きればエアコンをつけるが、いつもの母は後30分くらいで起きてくるはずで、確かにエアコンもまだついてなかった。それに、もしエアコンがついていたとしても、朝早くだから足元はひんやりしているはずだ。
とにかく、この不思議な感覚を覚えておこうと思って時計を見た。当時、私の部屋にあったのは針で表示する時計だったのだが、秒針が止まっていた
しかし、それからじんわりと肌が寒さを感じ始めた。と思ったら、秒針が動き始めた。
時間が凍っていたとしか思えなかった。

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