ドライバーのための転職情報コラム

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タクシー運転手 体験談

間違いは国境を越えて

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国際交流

僕はタクシー運転手1年生のルーキーです。都内でタクシーを運転しています。年齢は24歳ですが、前職は不動産会社の調査員で、あちこちクルマで移動する仕事でした。都内の道にも詳しかったので「道が分からない」といった苦労はありません。
接客はいまだに緊張します。緊張感のない接客も困りますが、緊張し過ぎてもよくないので、これは慣れるのが一番と思って経験を重ねています。
お客様にはいろいろな方がいます。外国人のお客様も珍しくありません。先日、麻布でお乗せしたのも、アジア系の外国人のお客様でした。
目的地をお聞きすると、ひと言「ヒビヤ」とおっしゃいました。「日比谷ですね」と一応確認しましたが、その方は黙ってタブレットを開き、熱心に何やら読んでいます。

困惑と錯乱

僕はタクシーを発進させ、日比谷に向かいました。
それでそろそろ日比谷に着いた、というころ、どこでタクシーを止めればいいのかをお聞きしました。その方はここでようやくタブレットから顔を上げ、外の景色に目をやりました。そして目を丸くしたようでした。
何かひどく取り乱し、「ココジャナイ」と訴えます。僕は安全のために路肩にタクシーを止め、その方と向き合いました。
その方は「シブヤ! シブヤ!」と連呼されました。目的地は日比谷ではなく渋谷だったのです。
僕が聞き間違えたのか、その方が言い間違えたのか。とにかく僕は謝罪し、すぐに渋谷に向かいました。

五輪にそなえて

僕は汗びっしょりです。すると、そんな焦りまくっている僕を見て、その方は突然爆笑しました。
笑い終わるとおだやかに、そしてゆっくりした口調で「落ち着いて、アンゼン運転してください」と言いました。
それから、自分もかつて母国のインドネシアでタクシー運転手をしていて、日本人を乗せたときに行き先を間違えてしまったが、その日本人は怒りもせず、逆に励ましてくれたと、カタコトの日本語で話してくれました。
2年後の東京オリンピックに向け、今後はもっと外国人のお客様をお乗せする機会も増えるでしょう。僕もせめて英会話くらいは習おうかな。

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