チップなんて外国の習慣?
タクシードライバーって、どういうわけか安月給というイメージが広がっています。たぶん「お客を乗せた分だけ収入になる歩合制だし、今はタクシーに乗る人って減っているから収入も減っているんでしょ」と思われているのかもしれません。でも、そんなことないんですよ。
詳しい計算は省きますが、平均するとタクシードライバーの年収は400万円前後、なんていう発表もあります。まあまあ良い金額でしょ。東京都内のタクシーに限ったことのようですが。ちなみに私も大体平均並みです。ただ、ここではそれが言いたいわけじゃないんです。
タクシードライバーをやっていて受けられる、ちょっとした恩恵をお教えしたいんです。それは「チップ」です。アメリカの映画やドラマで、登場人物がホテルの部屋に入ると、荷物を運んでくれたボーイに「取っておいてくれたまえ」なんて言って小銭を渡す、アレです。「チップなんて外国の習慣で、日本人がチップをくれるわけないじゃん。バッカじゃないの」と思われるかもしれませんが、あるんですよ、日本でもチップをいただけることが。
チップをもらえるときって?
私はタクシードライバーになって4年ですが、毎日ではないですが、チップをいただくことがあります。平均すると1日の勤務で1000円くらい、といったところでしょうか。
ご高齢のお客様をお乗せして、ちょっと面倒くさい場所にお届けしたり、距離がかなり遠かったり、または荷物が多くて出し入れをお手伝いすると「ありがとうございました。助かりました。これはお礼です」と言って渡してくださることもあるんです。それから会社の会長さん、社長さんも、上機嫌なときとかに乗車料金をお札で払って「釣りは要らないよ」。
この「釣りは要らないよ」は、普通のサラリーマンでも酔って気分が良いときなんかはありますよ。もちろん、そういう釣り銭なんて数十円とか、かわいい金額だったりします。でも、「平均すると」と言ったでしょ。これが積もり積もって、平均すると1000円くらいにもなるんです。何より、こちらも「日本にはチップという習慣はない」と思っていますから、その想定外のお客様の心遣いに、とても感動するんです。