違和感
最近は心霊番組やUFO番組が激減したように思う。
視聴者が飽きたということもあるだろう。それに今は素人でもCGを簡単に使うことができ、動画の加工がお手軽になったので、動画に何か不自然なものが写り込んでいても「超自然現象だ」と思う前に「CG加工だ」と思ってしまい、その怪しげな世界観に入っていきにくい。
むろん「信じるか信じないか」は自分次第だけど、やはりこの世界観に浸れないと面白味は激減する。
また、どこかの教授がムッツリ顔で真っ向否定する以前に、今はいろいろな専門分野も進化していて、それっぽい映像の真相をうまく解明してくれる。つまり、未確認だったものの確認が取れてしまうわけだ。
ちなみに、細かいことだけどUFOイコール宇宙船といった言葉の使い方にはどうも違和感がある。UFOは未確認飛行物体のことで、よく「UFOを信じる」「信じない」みたいな文章を目にするけど、未確認飛行物体なんだから「信じる」も「信じない」もない。
目撃談
そしてUFOは存在する。つまり、チラッと見ただけではそれが飛行機なのか自然現象の何かなのか、さっぱり判別できない、要するに「確認できない」飛行物体ってあるのだ。
私はトラック運転手の仕事をしていて、真夜中に山道や人里離れた道を走ることもある。そんなとき、たまには不可思議なものを目撃してしまう。
それは3年前のことだ。私は真夜中、トラックで林道を走っていた。周囲に車は全くなかった。対向車も1時間以上現れなかった。
すると、バックミラーに明るい光が映った。私は自分のことは棚に上げ、こんな時間に車を走らせている物好きがいるんだなあ、なんて感心した。
ただ、その光がやけにまぶしい。私は内心、ヘッドライトをロービームにするのがマナーじゃないか、とムッとした。それでとにかくスピードを落とし、相手が追い抜いてくれることを期待した。
案の定、こちらがスピードを落としても相手はスピードはそのままだった。やがて明るい光は私のトラックの横にやって来た。
未確認
こんな時間に一体どんな車で、どんな運転手なんだろう?
そう思って私は、トラックの右側から追い越してきた光の正体を確認しようと目をやった。しかし、てっきり車のヘッドライトだと思ったその光は、ただの光だった。つまり、何かのランプが光を放っているのではなく、光が道路の上を滑空してきたのだ。
私はびっくりしてぼう然となり、私のトラックを追い越してそのまま遠ざかる光を見送った。もし、私がスピードを落としていなかったら、そのまま道を外れて事故を起こしていたかもしれない。それほど驚いて、しばらくボーっとしていた。
光が視界から見えなくなると、私はトラックを停め、今の光の正体を冷静に考えようとした。しかし、それは無理だった。
意を決した私は再びトラックを発進させ、スピードを上げた。もしかしたらあの光の後を追えるかもしれない。
しかし、その後、あの光を目撃することはできなかった。
ちなみに、見たのは未確認飛行物体には違いないけど、宇宙船には見えなかった。