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トラックドライバー 体験談

見つかったスマホ

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スマホの時代

俺は50代のベテランのトラック運転手だ。20代からこの仕事をしているが、俺がトラック運転手になりたてのころは、仲間同士のやり取りは無線が主流だった。ファミコンなんてのが普及し始めた程度で、パソコンなんてのもまだなかった。
それが今はどうだろう。もちろん、運転中の使用はご法度だが、誰もかれもがスマホがないと、夜も日も明けぬありさま。くどいようだが、運転中の使用はご法度なれど、トラック運転手だってスマホの恩恵に預かっている。仲間や家族とのやり取りもそうだし、カーナビもスマホのアプリで見る。
俺ももちろんスマホは使いまくっている。ただ、スマホを見ると、ある男を思い出してしまう。それは2つ折り携帯電話さえなかった80年代にウチの会社に入ってきた、俺の後輩だ。
ある夜、仕事も終わり、俺が家に帰ろうとして、会社のトラック置場の前を通り過ぎようとしたとき、1台のトラックの運転席でゴソゴソと動く影が見えた。不審に思ってそのトラックに近づき、かすかに開いていたドアを思い切り開けると、中にいたのはその後輩だった。

不思議な忘れ物

後輩は「すみません、運転席に忘れ物をしたのを思い出して」と話した。なんだ、タバコとかライターとか、そんなものでも運転中に落としたのかな、と思った。それですぐに帰ろうとしたのだが、ちょうどそいつが「あった」と叫んだので、見てみると、何か手に小さな板のようなものを持っている。
今まで見たこともない、何か機械のような、金属製のような板だったので「何だそれ?」と聞いてみた。すると、そいつは「大事なものっスよ」と答えただけだった。
そいつとはそれほど親しいわけでもなかったので、それ以上、しつこく聞くのもはばかられたが、見ていると、その板の表面全体が光って、そいつはその表面を何やら指でいじっているようだった。
俺はモヤモヤを気持ちに残しながら、その夜は家に帰った。しかも、そいつはそれから少しすると会社を辞め、以来、会っていない。
その後、携帯電話が登場し、スマホが普及し始めた。そのスマホ、なぜか40年も前の後輩が持っていた小さい板に似ている気がするんだよね。

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