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トラックドライバー 体験談

10分間に1時間経った

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薄ぼんやり

これは先輩のトラック運転手から聞いた話。
その先輩は会社でも最古参と言えるトラック運転手で、今は60歳くらいだ。その人が20代のころの話なので、昭和の話というわけだ。
当時、先輩は倉庫から工場などへ、得意先の製品部品を運ぶ仕事をしていた。
まだ、朝も早い時間に空のトラックで会社を出発し、車で10分くらいの倉庫に着くと、そこで荷を乗せ、次の倉庫に行く。それからいくつか倉庫を回って工場に届ける。
その日は初冬くらいの季節で、朝も早いとまだじんわりと明るくなるくらいで、あたりは薄暗かったという。そんな薄ぼんやりした中、先輩は最初の倉庫に向かった。
しかし、その薄ぼんやりした周囲の様子に、何か違和感があったという。

1時間走って

トラックの窓の外は、見慣れた景色のはずなのに何かモヤがかかったようでもあり、ゆがんで見えた。あまりにも朝が早いから寝ぼけているのだろうと、深く気にせずトラックを走らせた。どうせ10分くらいですぐ目的地に着くという気持ちもあって、大きな不安はなかった。
しかし、いつまで走っても、いつも倉庫に曲がるときの目印にしているスーパーが見えてこない。ただ、どれだけ走っても、同じような風景が流れるだけで、見知らぬ街に迷い込んだという感じもしない。いつもと同じ道のはずなのに、どこか違うのだ。
どこかでトラックを停めて、道行く誰かに現在地を聞こうかとも思ったが、朝早いせいか対向車もなければ歩行者の姿も見えない。当時は携帯電話もなかった。
とにかく一心不乱にトラックを走らせ、1時間くらい経っただろうかと感じたころ、目印のスーパーが見えてきて、そこを曲がってようやく倉庫にたどり着いた。
この1時間近い遅刻に、倉庫の担当者もさぞ怒っているだろうと思ったら、いつもと同じように迎えてくれたので、逆に先輩はびっくりしたそうだ。それでハッとして、初めて時計を見てみたら、確かにいつもと同じように、10分ほどで着いていたという。

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