他人の目
トラック運転手は「自由度の高い仕事」と言われたりします。
つまり、普通に会社勤めをしているサラリーマンは、毎日決まったデスクで仕事し、近くには上司もいますし、周囲では先輩、同輩、後輩などの同僚が仕事をしています。いわゆる「他人の目」があります。鼻をほじるにも躊躇してしまうわけです。
一方、トラック運転手は基本的に1人でトラックを運転します。運転席の隣には上司も同僚もいません。そして仕事の大半が、この「トラックの運転」です。
運転中は「他人の目」はありません。オナラしようが鼻をほじくろうが自由です。
タクシー運転手は乗客の指示通りに運転します。もちろん、渋滞などの場合、乗客の知らない抜け道を使ったりしますが、それも普通は乗客の了承を得てです。
その点、トラック運転手は、目的地さえ間違えなければ、右に曲がるか左に曲がるかの判断は自己裁量に任されています。確かに自由だと言えば自由です。
責任
とは言え、仕事であるからには責任があります。荷を時間通りに安全に目的地まで届けなければいけません。そのためには交通ルールも守らなければいけません。
カーナビが右折の指示を出しているとき、左折を選択する自由はありますが、それも「左折したほうが仕事にとって良い結果が出る」と判断したときに限ります。
なんて考えると「自由なんてないじゃん」と思うかもしれません。
くどいようですが、仕事であるからには責任があります。
おまけに長距離のトラック運転手なら拘束時間もそれだけ長くなります。拘束時間は勤務時間であり、オフではありません。オフのときのような自由はありません。休憩時間はありますが、勤務時間内ですから責任も常にあります。
それでも「他人の目」がないのは、かなり気楽です。上司との打ち合わせや取引先との商談もありません。何かをアピールして相手の気持ちを動かす必要はないのです。
この些細な自由は、やはり捨てがたいものです。