初心者は2トントラックに乗る
俺は昔から「やればやっただけ稼げる」というトラック運転手に憧れていた。
高校卒業後は家庭の事情で実家の仕事を手伝っていたのだが、23歳になったころにそれから解放され、俺は晴れてトラック運転手への道を進むことにした。
実家の仕事をやっていたときから、ゆくゆくはトラック運転手になろうと思っていたので、20歳を過ぎるとすぐに中型免許を取得。ただ、トラック会社に就職した当初は、やはり2トントラックに乗ることになった。経験を積んでキャリアアップしていくというわけだ。
2トントラックは2017年3月までは普通免許で運転できた。俺の普通免許まら大丈夫なわけだ。
だからと言って、やはりトラックは普通乗用車と違うので、慣れるまではかなり大変だった。とにかく、普通車より大きい、そのサイズ感を身につけなければならない。
ミラーに気を張れ
トラックの運転席に座ると最初に感じるのが、視野の違い。
運転席の位置が普通車より高いので遠くまで見通せるが、フロントガラスの真下は死角になる。そしてトラックの後方は全く見えない。
トラックにはバックミラー、サイドミラーのほかにもアンダーミラーやサイドアンダーミラーなどが付いていて、これらでフロントの真下も十分に確認しなければいけない。後方も、ウチの会社のトラックにはバックモニターというありがたい文明の利器が付いていたのでありがたかったが、だからといってモニターだけに頼っていてはいけない。
一度、喫茶店の駐車場でモニターを見ながら車輪止めまでバックさせたら、上に張り出していた看板にトラックの箱をぶつけてしまったことがある。幸い、看板に大きなダメージはなかったので店主に謝ったら許してくれたけど、それからはちゃんと後方全体を確認してからモニターを見るようになった。
風を逃れて
それと、これはトラック運転手としては当然のことだけど、内輪差にも神経を使う。2トントラックと言えども普通車とは全然違うので、最初はやはり会社の駐車場で練習を繰り返した。
それに、積んだ荷物が荷崩れしないように、急発進、急ブレーキ、ハンドル操作など、とにかく“ていねいな運転”に細心の注意を払わなければいけない。トラック運転手って、俺は勝手に“荒々しく豪快”ってイメージしていたけど、実際はおっそろしく繊細な仕事だった。
そうそう、トラックは強風にあおられやすいので、それも注意が必要だ。
とにかく、この2トントラックで経験を積み、中型、大型とキャリアアップしていきたい。