特殊と言えば特殊
私はタクシー運転手です。
「タクシー業界はブラック企業ばかり」なんて話をよく耳にします。そんな話の多くが、実際にタクシー運転手を経験もしていない人が言っていることのようです。つまり、単なるイメージです。
タクシー運転手は勤務形態がちょっと特殊で、隔日勤務というのがあります。午前6時くらいから午前3時くらいまで勤務し、翌日は1日丸ごと休むというものです。この約21時間勤務を月に12日間くらいこなします。後の18日間が休みです。
もちろん21時間の中には休憩もあるのですが、この特殊な勤務で仕事しているタクシー運転手が多いです。それでタクシー運転手は「拘束時間が長くてきつい」と思われているのでしょう。
これはまあ、やってみれば分かるのですが、意外と大丈夫です。拘束時間が長いのは大変ではありますが、広告代理店の社員だってテレビ局のADだって朝から夜遅くまで働いてるでしょう? テレビ局のADに比べたら、休みが多いタクシー運転手のほうが楽なのではないですかねえ。
プロ中のプロ
「タクシー運転手は底辺」なんて話もよく聞きます。「タクシー運転手は学歴も知性もなくてもできる」「他にできる仕事がなくなったヤツが就く仕事」だからだそうです。
確かに、タクシー運転手に学歴は必要ありません。また、タクシー運転手の中には漫然とタクシーを運転しているだけの人もいます。
ですが、プロとしての誇りを持って伝統職人並みに仕事の技を研鑽しているタクシー運転手だっているのです。要するに、ただ漫然と仕事するか、プロとして道を究めるかは、運転手個人の自由意志でもあるのです。
この「自分の道を自分の自由意志で決める」ってことが、日本人の苦手とするところ。それもあって、タクシー運転手という仕事がなかなか多くの理解を得られないのかもしれません。
しかし、タクシー運転手の収入は歩合制です。ただ漫然とやっているだけでは、収入も運任せで、それでは自分の望む結果は得られません。日々の仕事の積み重ねでたゆまぬ研究、実証、実践を続け、思うような結果を得られてこそ、仕事に対する充足感もあります。
でもそれは、どの仕事も同じですよね。