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改めて映画「トラック野郎」シリーズについて考える

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「琴線に触れる」とは

トラック運転手を主人公とした映画として今なお人気の高い「トラック野郎」シリーズ。もちろん若い人にとっては「何それ? 興味ねーし、けっ」といったものかもしれないが、何せ10作も作られたほど、ファンを熱狂させたシリーズだ。そこには日本人の琴線に触れた何かがあったに違いない。
ちなみに「琴線に触れる」を「怒りを買う」意味と誤解している人もいるとか。
「トラック野郎」が制作されたのは1975年から79年にかけて。主演は菅原文太と愛川欽也の2人。菅原文太はやくざ映画や暴力団映画で活躍したスターで、愛川欽也は俳優や司会で活躍して「キンキン」という愛称で親しまれた人。アニメの声優や海外ドラマ、外国映画の吹き替えでも人気を博した。

愛されるワンパターン

「トラック野郎」は、菅原文太と愛川欽也がトラック運転手を演じたシリーズ。菅原文太が演じる桃次郎は毎回、美女に恋をしてすったもんだを繰り広げ、映画のラストでは失恋し、またどう考えても納期が無茶な仕事を引き受け、仲間のトラック運転手の協力もあってこれを成し遂げる。
「水戸黄門」みたいに、毎回基本のパターンがほぼ決まっている作品でもある。寅さんの「男はつらいよ」シリーズと似た構造とも言える。って、「男はつらいよ」も「水戸黄門」も若い人は知らないだろうけど。‥「男はつらいよ」は新作を作るらしいけどね。
菅原文太が演じる桃次郎はダボシャツ、腹巻きのチンピラスタイルで、言動も乱暴。けど、人情に厚く、お調子者でおっちょこちょいという面もある、愛すべき人物だ。そう、ただ乱暴な男ってだけでは10作続くほどの人気は出ない。
そうそう「男はつらいよ」もそうだけど「トラック野郎」はコメディなのだ。リアリティより楽しさ重視。

誰にも奪えぬもの

「トラック野郎」はまだまだレンタルDVDショップにも置いてあるし、動画配信でも見られる。見てみると、どうしようもなく泥臭い昭和ワールドが展開し、現代の現実のトラック運転手の参考には全くならない、ような気もする。
けど、桃次郎は確かにヒーローだ。しかも「ヒーローだけど失恋する」というところからシラノ・ド・ベルジュラックの系譜に属する人物だと言える。ちなみにシラノ・ド・ベルジュラックは実在の人物らしいけど、ここで言っているのは19世紀に書かれた戯曲の主人公で、その戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」は映画化もされている。
桃次郎が熱心にトラックを電飾で飾るのは、それが桃次郎にとっての“シラノの帽子の羽飾り”だからだ。つまり“心意気”。恐らくこの“心意気”が多くの日本人の琴線に触れたに違いなく。
平成が終わろうとする今、日本人が昭和に置いてきてしまった“心意気”を確かめるためにも‥、ま、そこまで深く考えずに話のタネにも、ぜひ一度「トラック野郎」を見てみてほしい。

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