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バスの運転士は高度な仕事

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先日ニュースで

ネットニュースで、先日路線バスで運転自動化の実験が行われたという記事を見つけた。
記事を書いた記者によると「人が運転するのとほとんど変わらない乗り心地だったという記事が新聞に載った」らしい。それも当然で「路上駐車している車を追い越すときなどは手動運転に切り替えざるをえず、自動運転だったところはほんの少しで、ほぼ運転士の運転だった」そうだ。
ただ、その記者は、この実験によってバス運転がいかに高度な技術であるかを証明することになったと指摘している。つまり、AIが切り盛りできる公道でのバス運転にはまだまだ限度があり、そのときそのときの状況判断、とっさの行動など、多くの部分を人の力に頼らざるをえないということだ。
そのあたりのAI技術が今後、どう進化するのか、未来では映画や漫画に出てくるような、人間とほぼ変わらないロボットがバスを運転するようになるのか、私には分からないが、バスの運転が「高度なワザ」と言ってくれたことが、バスの運転を仕事とする者としてうれしい。我が意を得たり、だ。

心臓発作で開眼

私がバスの運転士になったのは30歳を過ぎてから。前職は広告会社の営業マンだ。子どものころからバス運転士に憧れていたのだけど、高校を卒業するときに親から「頼むから大学だけは行ってくれ」と言われて進学。大学卒業後、今度こそバス会社に勤めたかったのだけど、エリート志向の強い親の懇願に負けて広告会社に入社。…広告会社がエリートかどうか、多少ひっかかったんだけどね。
しかし、仕事のストレスから20代後半に軽度の心臓発作を起こしてしまい、ほぼ1年近く寝たきり生活を強いられた。医師からも広告業界の仕事を辞め、ストレスの少ない仕事を新たに見付けるように忠告される始末。
で、自分にとって「ストレスの少ない仕事」って何だろうと考えて「バスの運転士」に思い当たった。好きで憧れていた仕事だからね。
だが、実際、始めてみると、これが実に大変な仕事だった。バスの運転は当然、普通車のそれとは違うので、それだけの大きさの車に慣れるのもひと苦労。そこにお客様をお乗せてして、それも極力ストレスのない乗り心地を心がけ、安全運転に集中しなければいけない。歩行者の飛び出し、ゆっくり走るスクーターの接近など、道路上でも毎回、新しい体験があるし、トラブルは車内にも起こる。

子どもの視点

子どものころは、ただ大きなバスを運転している姿だけに憧れていた私。
大人になると、バスの運転士の仕事の奥深さに気づいた。勝手知ったる我が町も、バスの運行ルートからさまざまな顔が見えてくる。バスが混む時間帯、その時間帯に乗るお客様の層から、地域性が見えてくる。お客同士のトラブル、窓越しに見えるドライバー同士のトラブルからも、現代人の問題点が見えたり。夜の深い時間帯の勤務では、少々不思議な体験もしたし。
心の和む体験も多い。やんちゃそうな高校生が高齢者や妊婦に席を譲るなんて、いかにもほっこりするベタな場面も珍しくはない。
車内で産気づいた妊婦もいた。具合が悪くなった高齢者もいた。自動運転のバスでは、そうした場合の対応はまだまだ当分難しいだろう。バスの運転の自動化が、単に運転だけの自動化という観点からなら、それは子どもの視点と変わらない。
数年、バスの運転士をやっていると、顔なじみというお客様も出てくる。高齢者の方は「いつもありがとう」と声もかけてくださる。そんな私の仕事ぶりを見ていて、近ごろでは親も私を誇らしく思うようになったようだ。

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